運転者との信頼関係で成り立っている

　腕を肩から水平に伸ばし親指を立てる、あるいは行き先を書いた段ボールなどの大きな紙を持って、道端に立って、親切なドライバーの乗せてもらって旅をするヒッチハイク。ブラッド・ピットが出演した映画やジーンズメーカーのCMを覚えているだろうか。

　いまは、愛車の運転が何より好きという人も、若い頃は「ヒッチハイクで日本一周」といった旅にあこがれた人は多いはずだ。そんなヒッチハイクは今でもときどき見かけるが、ヒッチハイクにルールはあるのか？　そして違法性はないのだろうか、という疑問に答えていきたい。

　まずヒッチハイクの合法性について。ヒッチハイクは1960年代に、ヒッピーたちから世界中に広まったカルチャーというか、無銭旅行のスタイルだった。しかし、その本場アメリカでは、ヒッチハイクを装った強盗事件が多発し、法令でヒッチハイクそのものを法令で禁止している州も多い。

　反対に、ヒッチハイカーが連れ去られたり行方不明になる事案も多く、海外でのヒッチハイクは乗せる方も乗る方もリスクが高い。治安のいいとされる日本国内においても、そうしたリスクは皆無ではないし、事故などが起きたときの対応なども問題になるだろう。とはいえ、法律的には日本国内でヒッチハイクをやるのは合法だ。

　道路運送法に『無許可タクシー業の禁止』という法律があるので、クルマで人を運んで、金銭を請求したり支払ったりするのは法律違反になり、違反者は3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金のペナルティが課せられるが、ヒッチハイクのように無償でクルマに乗せるなら問題はないわけだ。

　ただし、感謝の気持ちは絶対に必要で、お金はダメでも飲み物を渡したり、お土産を渡すぐらいはマナーと言える。また、歩行者進入禁止エリアでのヒッチハイクは厳禁。駐停車禁止場所でクルマを止めるのも違法になる。

　高速道路でのヒッチハイクは、本線上や料金所でのヒッチハイクはもちろん違反（高速自動車国道法違反。高速道路にみだりに人は立ち入れない。クルマ以外の方法で通過してはならない）になるが、インター手前の一般道での路上や、SA・PA内でのヒッチハイクを禁止する法律はないので基本的にOK。もっとも、交通の妨げになるような場所だったり、強引に頼み込んだりするのは別問題だ。

　ヒッチハイクはあくまで自己責任で他人の好意に甘えるスタイルなので、安全性を見極め、他人に迷惑のかからないカタチで、マナーを守ってチャレンジしてほしい。