覚えてる? 踏切を通過する前のルールと心得
線路を横断するための「踏切」。基本的に、踏切を新設することは少なくなっているが、列車と車両が交差するポイントだけに事故が起きてしまうと大きな被害が発生するのは言うまでもない。
踏切を渡る前に一時停止をする理由
周知のとおり、車両が踏切を通る場合は、道路交通法にて一時停止することが決められている。そもそも警報音もなく踏切が空いてる状態、すなわち電車通過の心配がないにも関わらず、なぜ自動車は一時停止しなければならないのだろうか。
それは、左右確認だけでは事足りないからだ。道路交通法でも、一部の例外を除いて踏切前での一時停止は”安全確認のため”と明記されているが、踏切の場合は確認すべき要素がいくつもある。
まず、窓を空けて左右から列車が来ていないかを”目視と音で確認”するのが第一だが、さらに踏切を渡りきったところにスペースがあるかを確認しなくてはいけない。
たとえば渋滞しているような状況で、列車は来ていないが踏切の先が混んでいる場合。そのまま踏切に進入すると渡れないまま遮断機が降りてくる可能性が生じ、最悪のケースでは列車と衝突してしまう。
信号機のついた踏切の場合では、青信号ならば道路交通法で一時停止しなくてもいい例外はあるといえ、渡った先に自車のスペースがあるかどうかといった安全確認は必要だ。
線路沿いの道からの右折は危険がいっぱい
そういう意味では線路沿いの道から右左折で踏切を渡るときは、より注意が必要。曲がるわけだから、踏切の先がどうなっているのかが確認しづらい。さらに右折であれば対向車も確認しなくてはならない。対向車が気を遣って「お先にどうぞ」とばかりにジェスチャーをしてくれたからといって曲がったはいいものの、踏切の先が渋滞していて渡り切れないというケースも考えられる。
渡った先の確認という点では、駅に近い踏切も要注意の場所。駅周辺は歩行者が多く、踏切の先で突然歩行者が横断するケースもある。急いで渡ろうとして歩行者と事故を起こしてしまうこともあれば、歩行者を避けて停止したら遮断機が降りてきたというケースも考えられる。歩行者の動きは読みづらい部分もあるが、注意が必要だ。
駅近くの踏切では歩行者の動きに注意
また、踏切を渡るのはクルマだけではない。歩行者や自転車も同時に渡ることになる。雨で線路が濡れていたりすると、転んだりするケースも増える。当然、踏切内での接触は、さらに大事故につながってしまう。お互いの立場で、余裕を持った横断を心掛けたい。
特殊なケースとしては、踏切通過時のスタック。極端なローダウン車でなければ関係ないだろうが、踏切の段差に車底が当たってしまい動けなくなることもある。そうしたクルマでは対向車が来ないことを確認して斜めに進入するといった工夫が必要だったりするのだ。
他にもAT車全盛なので踏切内でのエンストは少ないだろうが、MT車ではエンストのリスクを減らすために踏切内ではシフトチェンジをせずに、発進した低速ギアのまま通過するようにしたい。
クルマが止まったら非常ボタンを押すべし
いずれにしても踏切事故というのは人的にはクルマの被害が大きく、また社会的な損害も大きい。もし踏切内で停止してしまったら、まずは警報機付近にある非常ボタンを押す。もしクルマが動く状態であれば、遮断機が降りていても、バー自体は突破できるように作られているので、ゆっくりと遮断棒を押す様に前進して脱出を図りたい。
遮断機が降りた後に列車が通過するのは15秒程度で、残されている時間はない。もし、車体が遮断機に引っかかったとしてもクルマを降りて無理に取り外そうとはせず、遮断棒が折れてでも踏切内からイッ気にクルマに乗ったまま出るように心がけたい。
愛車へのキズと遮断機の破損で済む程度を考えるならば、どちらが賢明なのかお分かりだろう。