3:ドアとフェンダーを調整
組み上げる場合は、まずフェンダーから行うが、この時にドアとフェンダーの立て付けにズレや歪みがないか調整する。
まず、フェンダーはボルトなどを軽くとめ、高さや上下を微調整する。サンプル車では、ドアがやや下がり気味。32型は、「ドアが重いためよく出る症状です」と金沢さん。放置するとドアが閉まりずらくなる。そこで、まずドアの外側を持ち上げることで歪んだヒンジ部分を微調整。
車体側にあるドアを停めるためのストライカーの位置も調整して、スムーズにドアがロックされる位置を探って調整する。
4:ボンネットやバンパーを調整
次はボンネットの組み付け。この時も、装着位置が左右均等になるように立て付けの調整をする。ボンネット奥側とヒンジのボルトを軽くとめ、左右が均等になる位置でボルトを締める。
金沢さんによると「よく、ボンネットをバタンと勢いよく締める人がいますが、これは長い目で見ると車体へのダメージが出ます。ボンネットはやさしく閉めてものが基本です。ボンネット位置が正常なら、やさしく閉めても車体側のロックはスムーズに掛かるはずです」。
その後、バンパーを組み付けるが、これはまず高さがあっているか調整。高さを合わせたら左右位置も調整した後に、ボルト類を締める。
5:電動工具は使わない
作業全般に言えることだが、金沢さんは作業で電動工具やエア工具は一切使わない。
理由は、「電動工具などを使えば、作業が早くなるように思えますが、古いクルマのボルトやビスなどは、サビなどで折れやすくなっています。なので、電動工具などで勢いよく外している最中にボルトが折れたりしたら、外す時間がさらにかかってしまうのです。組み上げ時は新品のボルトを使いますが、これもトルクをかけ過ぎると折れることがあるため、やはり手作業です。丁寧にやることも、古いクルマの作業には必要なことなのです」。
こういった作業を実際に自分で行う人は少ないかもしれない。だが、金沢さんは「(プロが)どのようにしてレストアを行っているかを知るだけでも、クルマのコンディションを良好にし、長く保てるにはどうすべきかを考える第一歩になるはず」だという。これは他車種の旧車に乗る人にも通じることだ。旧車ファンの方々は、ぜひ愛車のメンテナンスなどの参考にして欲しい。