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クルマの車高を低くするカスタマイズ「ローダウン」で生まれるメリット

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)

スタイリッシュな見た目以外にもあるメリット

 車高が低いスタイリングはクルマ好きにこそウケがいいけれど、興味のない人にとっては百害あって一利なしと思うでしょう。しかし、安定性や旋回性能や高速安定性の向上など、見た目だけじゃないメリットも存在するのです。

「愛車を自分なりに個性のあるものとしたい」。それがカスタムと言うものですが、その第一歩としてローダウンと手法があります。見た目を綺麗にするドレスアップや、エンジンなどを走行性能を向上させるためのチューニングがありますが、今昔もクルマ好きたちの定番中の定番メニュー、それがローダウンであることに変わりはありません。

 しかしクルマに興味がない人にとっては、わざわざ車高を下げる意味が理解しにくいうえ、スロープや段差の前で急にスローダウンしたり、車の底を擦らないために斜めへと段差に乗り込んでいく『段切り』が、厄介だし危ないと感じる人も少なくないでしょう。

 また、ローダウンと同時に、ホイールの取り付け角度が変わるキャンバーが付くなど、アライメントにも変化が起こり得るうえ、過度なローダウンに関しても法的にアウトだし、性能面でもデメリットしかありません。

 では、ローダウンは「百害あって一利ナシ」なのでしょうか。

 

ローダウンの利点は運動性能向上

 ローダウンによる最大の利点は運動性能、特にコーナリング性能の向上です。車高が下がればクルマ全体の重心が下がり、旋回中の安定感が高くなるのは自明の理。さらにボディの下を流れる空気が少なくなります。つまり、抵抗が減りダウンフォースが増し、結果として直進安定性もアップすると言うことです。

 それらを体感できるのは、サーキットのような特殊な場所だけに限りません。一般道のワインディングや高速道路のジャンクション、高速域でのレーンチェンジやブレーキングを筆頭に、ローダウンの恩恵を受けられるシチュエーションは、街乗りでも多く存在するのです。

 また、ローダウンは重心が下がることで旋回中にクルマが傾く『ロール』が減り、同乗者の恐怖感やクルマ酔いの可能性が減る、と言われてますが、これはケースバイケース。というのも、単に車高を下げるとロールの中心点(ロールセンター)が下がることで、逆にロール量が増えるケースがあります。しかし、ロールする量は増えても重心高は下がるので、クルマの挙動はつかみやすくなるでしょう。さらに、セッティングによって走行性能を自分好みに変えられるのもローダウンの魅力なのです。

 このように未舗装路を走るようなカテゴリーを覗き、競技車両の大半はローダウンしています。車高ダウン以外の緻密なセッティングも然りですが、コンマ1秒を削るのが至上命令のレーシングマシンが、見た目のカッコよさを理由に車高を下げるはずはありません。その事実からだけでもローダウンには走行性能をアップさせる、何かしらの効果があると理解できるはずです。

 では、最後にローダウンする際の注意点を説明しましょう。もっとも大切なのは車高をむやみに下げすぎないこと。サーキットでしか使わないクルマは別として、極端なローダウンはボディの下まわりを擦りやすいし、乗り心地やアームを含むサスペンション全体のバランス悪化を招きます。

 ナンバー付き車両であれば法律で定められた、最低地上高が9㎝以上の範囲で楽しむ、これがルールですし、ローダウンの美味しいところだけを享受するための秘訣です。あとは、ローダウンで生じたアライメント変化を正常な状態に戻すこともオススメ。車種によって恩恵を受けやすい、受けにくいがあるのでショップと相談するのもいいでしょう。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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