観光地や商業施設への活性化を目指す
高速道路の走行に便利なETC車載器の導入がスタートしたのは2003年のこと。ETC車載器の導入により、支払いのために停止する必要がなくなったので、料金所での渋滞は改善されました。そんなETCですが、2015年に追加機能を持たせた「ETC2.0」が登場。通常のETCと並行して使用されている状況です。
しかし、渋滞回避支援や圏央道の割引といったメリットについてあまり知られていないのも事実(そもそも魅力を感じていない?)。そんななかで、ETC2.0使った新サービスを国土交通省がスタートさせようとしています。
内容は、高速道路の利用時に目的地までの間「インターチェンジの途中下車」をしても通行料金が割高にならない仕組みをカタチにしたサービス。小都市の地域活性化を目的とし、道中の観光地や商業施設に寄り道しやすくするというものです。
実際、日本の高速道路には、サービスエリア(休憩施設)同士の間隔が25km以上離れている空白区間が約100区間も存在していますから、新たに高速道路を整備をするよりコスト面でもありがたい話だと思われます。
これまで交通網の整備によって、小都市でストロー現象化(途中の中継地に移動に伴う経済効果がないこと)が生まれて問題となった点にも配慮した格好の新サービス。それまで地域の拠点となっていた小都市が経路上の大都市の経済圏に取り込まれ、ヒト・モノ・カネがより求心力のある大都市に吸い取られる現象を少しでも減少させていく効果が期待できます。
さて、ETC2.0での「インターチェンジ途中下車」は、インターチェンジでいったん降りても同じインターチェンジから高速道路に戻れば、初乗り運賃に該当するターミナルチャージ(150円)を再度徴収されることなく、長距離割引もそのまま適用されるというもの。途中下車を認める時間の上限は3時間程度とし、合計の高速料金は出発から目的地に直接向かった時と同じになるというわけです。
国土交通省は高速道路ネットワークを賢く使う取り組みの一環として、休憩施設を多元化。良好な運転環境を実現するため、”道の駅”を使った取り組みも実施しており、すでに高速道路からの一時退出を可能とする”賢い料金”の試行として高速道路の途中下車を認める実証実験を行なっています。これはサービスエリア間が概ね25km以上離れている空白区間の20箇所を対象。将来は都市高速を除く、全国の高速道路で実施したいそうです。
次世代のETC2.0。全国の高速道路に設置した路側機(通信アンテナ)と対応車載器との間で高速双方向通信を行なうことにより、前述のような指定区間の料金割引、渋滞回避や安全運転への支援などのサービスを享受できますが、乗用車の利用者は10%程度と普及は進んでいません。
今回の新サービスによって、どれくらいの人が共感するのかは未知数であり、そもそもどれだけ多くの人に認知してもらえるのか、謎が多そうです。ちなみに、通常のETCの使用ができなくなるかと言えば、当面の予定はなく、これまで通り通常の車載器も利用OK。ETC2.0非対応の機種も、まだまだ普通に販売されているのが現状ですのでご心配なく。