夜間に人を検知する安全運転支援装備を標準化
トヨタ自動車は9月17日、カローラのセダンとワゴンをフルモデルチェンジ。ワゴンは従来のカローラ フィールダーからカローラ ツーリングへと車名変更し、ボディ幅を広げ全車3ナンバーとなった。先行投入されていたハッチバックのカローラ スポーツも一部改良し、全国のトヨタカローラ店などを通じて同日から販売を開始した。
1966年に誕生したカローラは販売累計台数4750万台。世界150以上の国と地域で愛されているロングセラーカーだ。昨年6月には新たなカローラシリーズの先鞭としてカローラ スポーツを投入。現行プリウスから採用されたトヨタにとって新世代のTNGAプラットフォームを使い、骨格から大きく生まれ変わった。そして今回、セダンのカローラと、ワゴンのカローラ ツーリング(以下ツーリング)を投入。ライフスタイルに合わせて、12代目をフルラインアップから選択できるようになった。
具体的にはTNGAプラットフォームを活かしつつ、国内専用の設計で、低重心でスポーティなスタイリング、走る楽しさと、取り回しの良さを両立。また、最新「Toyota Safety Sense」の全車標準化など安全性能の強化や、国内トヨタ初となるディスプレイオーディオの標準搭載やスマートフォンとの連携など、コネクティッドサービスも充実させている。
開発を担当した上田泰史チーフエンジニアは「カローラは常にその時代のお客様と地域のニーズに合わせ、変えることをいとわず開発してきたクルマです。そんなカローラだからこそ、世界で、日本で、多くのお客様に永く愛されてきました。今回の新型カローラはTNGAプラットフォームを採用し、スポーティなデザインと気持ちの良い走りで、お客様の期待を超え、先進の安全装備とコネクティッドで、豊かで安全・安心なお客様のカーライフをサポートします。クルマ本来の楽しさをぜひ乗って体感いただきたい」とコメントしている。
では、新型の詳細について、順に紹介しよう。
エクステリア
新型カローラの低重心シルエットの実現に寄与するのは、当然のことだが新世代のTNGAプラットフォームだ。前後のホイールフレアが張り出したダイナミックな造形でワイドなスタンスを強調したほか、フロントは大型台形のロアグリルフレームとメッシュグリルに統一し、力強くスポーティなデザインとした。
ヘッドランプは光源をLED化。フロントはラウンドを強めた一文字形状で、スポーティでワイドな顔つきに。また”W×Bグレード”は、2連続させたJ字形状のクリアランスランプとデイライトで、昼夜を問わず横方向に伸びやかで鮮烈な印象を表現する。
ツーリングのサイドビューは、後方への抜けの良いサイドウインドウグラフィックとドアショルダー部で伸びやかさを表現。樹脂バックドアを採用して立体的な造形を実現した。
ボディカラーは、W×Bグレードにスパークリングブラックパールクリスタルシャインを新規設定。シックでスポーティな全3色として、ホイールやミラーカバーなどにグレーメタリックをコーディネート。それ以外のSとG-Xグレードには、新規開発のセレスタイトグレーメタリックを加えた全7色を用意している。
インテリア
室内はインストルメントパネルを薄型・ワイド化し、開放感を演出。部品の合わせや形状・質感の統一感など感性品質にもこだわった。またAピラーをスリムな形状にすることで、視界も改善。フロント2座にはスポーティシート(W×Bに標準)を採用し、座り心地を向上すると同時に後席のニースペースを確保している。
セダンのW×Bグレードのリヤシートはトランクスルーが可能な6:4分割可倒式を新規採用し、使い勝手を良くした。
一方、ツーリングにはリバーシブルデッキボードを設定し、荷室床面の高さが2段階に調節可能になった。上段にセットして後席を倒せば長い荷物の積載に便利なフラットなスペースが生まれ、下段にセットすれば背の高い荷物の積載が可能(一部グレード、ハイブリッド4WD車は1段式のみ)。また、デッキボードの裏面は樹脂製としてタフユースに対応し、ワゴンとしての実用性を高めている。
内装色はセダンとツーリングのW×Bグレードにブラックとホワイトの2色、同じくSとG-Xグレードにはシックなブラックを設定している。
メカニズム
新型カローラには3つのパワートレインを用意。ハイブリッド車とガソリンエンジンの排気量は1.5から1.8リッターに変更し、気持ち良いと実感できるシームレスな加速感を実現した。さらにハイブリッド車にはE-Four(電気式4WDシステム)を設定し、加速時や雪道などの滑りやすい路面でスムーズに4WDに切り替えが可能となり、走行安定性と低燃費に貢献している。そして、マニュアル車には1.2リッター直噴ターボの8NR-FTS型エンジンを設定、走行性能と優れた環境性能を高次元で両立させた。
TNGAプラットフォームのメリットは、フラットな乗り心地や優れた操縦安定性、高い静粛性にも発揮。また運転中の目線の動き、旋回時の姿勢、ライントレース性などドライバーが感じる動きを解析し、サスペンションを最適化することで、さらに運転をしやすくしている。フロントはマクファーソンストラット式を採用して、旋回時の安心感・安定性を向上。リヤはダブルウイッシュボーン式を採用し、路面をつかむような安定した走りを実現した。さらにブレーキ制御によって内輪に制動力を付与し、コーナリングをアシストするACA(Active Cornering Assist)制御を採用した。
国内専用設計
新型カローラはグローバル(海外)モデルとデザインコンセプトは統一しつつ、日本のユーザーや道路環境での使い勝手を考え、日本国内向けの専用ボディを開発。具体的にはグローバルモデルより、全長・全幅・ホイールベースを縮小しながらも、デザインはダイナミックに。ドアミラーの取り付け位置を工夫し、ミラー格納時の車幅は従来型と同じレベルに収めている。とはいえ、全幅は1745mm(従来型の+50mm)と3ナンバーサイズ。全長もセダンが+95mm、ツーリングは+85mm、従来型より拡大している。
セダンの最小回転半径も従来型と同等の5.0m(G-Xグレードの15インチタイヤ装着車。16、17インチタイヤ装着時は5.3m)。さらにドアの開口角度などの工夫で、ドアを開けたときの幅も従来型と同等にした。
安全機能・装備の充実
今回のフルモデルチェンジでは、自転車や夜間の歩行者検知が可能な最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を全車に標準装備した。駐車場など低速時に壁や車両を検知して、衝突被害の軽減に寄与するインテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]を設定(W×B、Sに標準装備、G-Xにオプション)。
また後方から接近してくる車両を検知し、衝突被害軽減に寄与するリヤクロストラフィックオートブレーキ[パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)]をオプション設定(MT車はリヤクロストラフィックアラート+ブラインドスポットモニターをオプション設定)。さらに7つのSRSエアバッグ、全方位コンパティビリティボディ構造で、万が一の際の衝突安全への対応にも配慮している。
コネクティッドで広がる安心・便利
国内トヨタブランドとして、初めてディスプレイオーディオ(DA)を全車に標準装備。スマートフォンとの連携が可能となり、日常利用している地図アプリや音楽などをディスプレイで操作・利用できるようになった。従来通りの車載用ナビ機能を使いたい場合にも、エントリーナビキットまたはT-Connectナビキットの2種類が選択可能だ。
スマートフォンとの連携も最新に。Smart Device Link TM(SDL)では、スマートフォンをBluetooth®とUSBケーブルで接続して、TCスマホナビやLINEカーナビなどのナビアプリのほか、音楽・ラジオアプリなどをDA上で使える。また、音声認識で目的地設定やLINEのメッセージ送受信、音楽再生などがえできるのも便利だ。
さらにApple CarPlay/Android Auto TMは、スマートフォンをUSBケーブルで接続し、マップ/電話/メッセージ/音楽アプリをDA上で使うことができる(TVとセットオプション、契約時にT-Connect契約が必要)。
DCM(Data Communication Module=車載通信機)を標準装備しているため、安心・便利なコネクティッドサービスを基本利用料5年間無料で利用可能(6年目以降は3300円/年[税抜]または、300円/月[税抜])。
ドアロックが遠隔操作できるリモート機能やハイブリッドナビなど、昨年発売したカローラ スポーツからさらにT-Connectサービスの機能範囲が拡大した。
新型カローラのセダンとツーリング(ワゴン)の主なスペック、バリエーションと価格は、以下を参照。なお、従来型のカローラ アクシオとカローラ フィールダーは主に法人ユースを対象に、設定グレードや一部の装備を見直したうえで引き続き販売している。