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人気だったのになぜ消えた?復活を望む個性派ミニバン5選

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TEXT: 永田恵一  PHOTO: Auto Messe Web編集部

スライドドアと全高アップの今流ミニバンから見れば

 現在ミニバンは日本の自動車市場において軽自動車、コンパクトカーと並ぶ大きな柱となっている。しかし売れてるミニバンは全高が高く、かつスライドドアを持つものばかりだ。

 ところがミニバン黎明期の1990年代から2000年代初めに登場したモデルには、「人気だったのに」消えてしまったものも少なくない。良いクルマだったのに時代の流れには勝てなかったミニバンたちをピックアップしてみよう。

 

トヨタ エスティマ

 1990年に登場したエスティマは、特に初代モデルはエンジンを車体中央に75度傾けて搭載するという画期的なミッドシップレイアウトを採用し、それまでのミニバン(というより1BOXカー)にはなかった走行性能アップを含めた高級感を備えていた。これがミニバンの常識を大きく変えた一因となった。

 初代エスティマは3ナンバーサイズで登場したが、後に5ナンバーサイズのルシーダ&エミーナも加わり、人気に拍車が掛かった。しかしミッドシップレイアウトは開発費や生産コストがかさんだといわれており、なかなかフルモデルチェンジできず、2000年にオーソドックスなFF(フロントエンジンの前輪駆動)レイアウトとなった2代目モデルにバトンタッチすることとなる。

 2代目エスティマはスタイルこそ初代モデルを踏襲したが、クルマ自体はトヨタらしいソツのないものだったこともあり人気となった。またトヨタとしては、初代プリウスに続く第二弾となるハイブリッドがラインナップされたことも話題となった。

 2006年に登場した3代目モデルも2代目モデル同様のキープコンセプトだったが、こちらも登場から長期間にわたって好調な販売をキープしていった。

 しかしこの頃から、より車内が広く、高級車としても使えるステータスを持つアルファード&ヴェルファイアが台頭し始め、エスティマは残念ながら中途半端な存在となりつつあった。それでも一定数は売れることもあって2016年にはスタイルの変更や自動ブレーキの搭載といったビッグマイナーチェンジを行う。だが、さすがにフルモデルチェンジすることはできず、やんぬるかな、生産終了が間近となっている。

 

トヨタ イプサム

 イプサムの初代モデルは1996年に当時のコロナ・プレミオをベースにした、ヒンジドアを持つミニバンとして登場する。当時こういったクルマでは日産プレーリーがあったが、初代イプサムはトヨタ車らしくソツなく完成度の高いクルマだったこともあり、人気車となった。

 2001年登場の2代目イプサムは初代モデルのボディサイズを若干大きくした3ナンバーボディのミニバンとなり、2代目エスティマとともにライバルのホンダの2代目オデッセイをターゲットとしている。

 しかしボディサイズとそれに伴う3列目の広さも中途半端だったせいなのか、販売は振るわず、2010年にマークXジオを実質的な後継車としたが絶版となった。なおマークXジオも乗れば高級感があり悪いクルマではなかったものの、こちらもスタイルにクセがあった上に中途半端な感が否めず、こちらは初代限りで姿を消していった。

 

ホンダ ストリーム&トヨタ ウィッシュ

 初代モデルが2000年に登場したストリームはシビックをベースとしたヒンジドアを持つ5ナンバーサイズのミニバンで、シッカリ使える3列目を確保しながら、評価点を失う要素もなく実質乗用車として使える点を主な理由に大ヒット車となった。またシビックの開発担当者が手がけたこともあり、走りの良さにも定評があった。

 その初代ストリームをターゲットに、「ストリームを少しづつ上回る」というコンセプトで開発されたのが2003年登場のトヨタの初代ウィッシュである。初代ウィッシュはトヨタ車らしくすべてが万人向けによくできたクルマだったこともあり、狙いはドンピシャリと当たり、初代ストリームが開拓したマーケットを完全に奪ってしまった。

 という販売バトルの背景もあり2006年に登場した2代目ストリームはキープコンセプトながら広さ、全体的な質感を高め、クルマとして初代ウィッシュを圧倒してゆくのだが、なぜかクルマの良さほどは売れなかった。

 その後ウィッシュは2009年に2代目モデルに移行するのだが、エンジンこそ新しいものに変わったものの、車体は初代モデルを改良したもので、クルマの質は後発ながら2代目ストリームに及ばなかった。しかしリーマンショック直後という時代背景に素早く対応し、低価格としたことで人気を集め、またしても2代目ストリーム相手に完勝を納めてゆく。

 だがあんなに売れたこの2台であっても、互いにプリウスαとジェイドという後継車的なモデルはあるものの絶版となり、後継車も低空飛行が続いている。いやはや時代の流れを痛感させられるものである。

 

スバル エクシーガ

 2008年登場のエクシーガはスバルでは以前資本提携を結んでいたGMのグループ企業のオペル・ザフィーラを手直ししたトラヴィック以来となる、3代目オデッセイに近いコンセプトのヒンジドアを持つミニバンである。エクシーガは現在も使うモデルがあるSIシャーシを使ったミニバンで、3代目オデッセイ同様にシッカリ使える三列目シートを持ちながらステーションワゴンに近いというキャラクターだった。

 クルマ自体もメインとなる2リッターNAに加えスバルらしく2リッターターボやFFも設定し、価格もリーズナブルと申し分なかった。しかしこの頃からミニバンの人気はスライドドアに移行してきたこともあり、オデッセイですら販売が落ちてきた流れだった。いわんやエクシーガの販売も徐々に低迷してしまう。

 それでもエクシーガはエンジンの変更やアイサイトの設定といった改良を施してゆく。最後はクルマ自体を、最低地上高を若干ながら上げたクロスオーバー7に変えるまでして存続させてゆくのだが…、登場から10年が経った2018年に残念ながら再度浮上することなく、姿を消してしまった。

 

 振り返ると、今回挙げた絶版ミニバンは今厳しく見れば「中途半端なところがあったから消えてしまった」という見方もあるかもしれないが、そう言ってしまうのがかわいそうなくらい魅力あるクルマたちだった。現在の高い全高+スライドドアが全盛のミニバン業界では難しいのかもしれないが、何台かでいいから商品力の高い個性派ミニバンの登場も願いたいところだ。

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