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80~90年代のモテ男が乗っていたデートカー5選

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)

クルマが男のマストアイテムだった時代

 日本がバブル景気に沸いていた1980年代やその余韻が残る1990年代、デートといえばクルマを使うのが当たり前。”若者のクルマ離れ”なんて言葉が使われるようになって久しいけど、80~90年代はモテたい男たちがこぞってクルマを買い求めた。なかでもスペシャリティカーと呼ばれる車種が、デートカーとしてモテはやされたのである。他にも映画やTVドラマの影響で流行った代表的なクルマを振り返ってみよう。

ホンダ・プレリュード

 そんな世相を反映し『デートカー』なんて言葉も生まれたほど。代表格として、誰もが思い浮かべるのはホンダのプレリュードだろう。低いボンネットに流行のリトラクタブル・ヘッドライトを備え、ワイド&ローなシルエットも当時の日本車としては斬新だった。2代目(AB/BA1型)でブレイクを果たしたプレリュードは、コンセプトを引き継いだ3代目(BA4/5/7型)も引き続き大人気となり、量産車では世界初となる4WS機構を始め最新技術の数々が投入されたのも、プレリュードの人気に拍車をかけた一因だろう。

 1990年には2100ccのエンジンを搭載した特別仕様車『ステイツ』を設定。他のプレリュードとは異なる”3ナンバー”という響きが羨望の的となった。余談だがプレリュードは運転席側に助手席のリクライニングノブが付いており、それがデートカーの王者としての地位を不動にしたなんて説もある。

トヨタ・ソアラ

 続いては、さらに高級路線に振ったトヨタの2代目ソアラ(Z20型)だ。エンジンは2000ccと3000ccの2タイプをラインアップ、4輪ダブルウィッシュボーンに”TEMS”という最新の足まわり構造でしなやかな走りを実現した。

 また、デジタルメーターやトヨタ・エレクトロン・マルチビジョンといった、女子ウケしそうなハイテク装備が惜しみなく注ぎ込まれ、高価格であったにも関わらず5年で約30万台を販売。ソアラのライバルと目された日産・レパード(F31型)がデビューした当時は、すでにソアラが絶大な人気を誇っており、販売的には苦戦したが、TVドラマ『あぶない刑事』シリーズに登場したことで、デートカーとしての地位をイッキに押し上げた。

 

日産・シルビア

 同じく日産ではシルビア(S13型)も忘れてはいけない存在だ。ドリフト車両の代名詞といった印象だけど、そもそもは打倒プレリュードを掲げて開発されたモデル。”アートフォース・シルビア”をキャッチコピーに、女性ウケしそうなデザインや若者が買いやすい価格帯と、デートカーのツボをすべて押さえた名車のひとつといえよう。

 簡素な装備の”J’s”、売れ筋の”Q’s”、そして過給機付きモデルの”K’s”と、乗る人の好みに合わせたグレードを展開。なかでも走りのK’s(5MT)は、いまなお高値安定な中古車市場で根強い人気を誇っている。

トヨタ・セリカGT-FOUR

 映画でブレイクしたデートカーといえば、1987年に公開された『私をスキーに連れてって』の劇用車に使われた、トヨタ・セリカGT-FOUR(ST165型)も挙げられる。そしてWRC(世界ラリー選手権)でも実績を残す4WDによる走破性で、見た目だけじゃなく実用性や安全性に優れていたことも人気を呼んだ。

 当時の若者にインパクトを与えた名車のひとつだが、中古車での流通量は非常に少ない。もし、いいタマが見つかったならば好きな人にとっては極めて価値ありなクルマになるだろう。

 

ユーノス・ロードスター

 最後は日本でライトウェイトオープンの認知度を急上昇させた、ユーノス・ロードスター(NA6CE)を。性能や装備を必要にして十分なレベルに抑え、手ごろな価格で風を切って走る楽しさを味わえる。そんな自動車としての醍醐味が人気を呼び、日本のみならず世界各国でブームを巻き起こした。

 クラシックな英国風のデザインはより上の年齢層をも虜にしたほか、助手席に座るのではなく自らハンドルを握る女性ドライバーも急増。もはや、デートカーという枠を超越した名車かもしれない。

 

 これらの一世を風靡したスペシャリティカーたちは、ロードスターを除いてすでに絶版。これも時代の流れなのかもしれないが、いい時代を過ごしたモデルたちは、いま人気衰退となった2ドアクーペ市場をどう思っているのだろう。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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