ベース車を徹底的に磨き上げたコンプリート車
現在におけるSTIコンプリートカーの最高峰「S」シリーズ(最初のモデルは先述のS201 2000年デビュー)は、ECUのプログラム変更や専用の吸排気チューニング、エンジンのバランス取りなどを実施。エンジンもベースモデルから大幅にスペックを向上させている。
初代レガシィのRS type RAやツーリングワゴンのSTi限定車などもバランス取りやECUチューニングといったエンジン系にも手が入ったモデル。ちなみに3代目インプレッサWRX STI 5ドアモデルに設定された「R205」は唯一”S”のつかないコンプリートカーだが、日常の公道走行に重点を置いたコンセプトながら装備面ではSシリーズの流れを組んでいった。
そして、SUVのフォレスターや3列シートのエクシーガといった幅広いモデルに設定された”tS”シリーズや、”tuned by STI”シリーズ。基本的にパワーユニットの性能はそのままに、Sシリーズの「運転がうまくなる」要素を中心に足回りを中心に手が入るモデルで、Sシリーズよりリーズナブルな価格設定となっている。
ほかにも、コンプリートカーを所有したオーナーだけが手にすることのできる特別なアイテム(専用内外装パーツ)やパーツなども所有欲を満たす素材に。ある程度までは市販のSTIパフォーマンスパーツ(後付けや新車購入時向けのスポーツパーツ)でSTIの提唱する強靭でしなやかな走りを手にすることが可能だが、コンプリートカーに装着される専用パーツの多くは車検証がないと購入できない垂涎のアイテムが装備されるのだ。
旧富士重工時代から車両の開発に携わり、STIコンプリートカーの開発からSUPER GTやNBRチャレンジの監督も務めてきたSTIの辰己英治さんは、こう語る。
「しなやかで気持ちよくて、安全でもっと運転がうまくなるという考え方のもと徹底的にベースモデルを磨き上げているのがSTIのコンプリートカーです。STIがそこまで考えて作りこんだクルマなら、”よし、買おう!!” と、お客さまに思っていただけると考えています。テストコースだけでは答えの出ない、日常の運転環境でも満足できるように仕立てるのがSTIの仕事でだと思いますね」。
ベースモデルはSUBARUで徹底的にテストされ、まさにベースのできあがったクルマ。これをユーザーが気持ちよく、運転がうまくなるように調律したクルマがSTIコンプリートカーといえるだろう。
もちろんその思想はフレキシブルタワーバーといった市販モデルに後付できるSTIパフォーマンスパーツにも息づいている。コンプリートカーよりもっと身近に、もっと手軽に“STIパフォーマンス”を体験できるスポーツパーツもおススメのアイテム。ぜひ、より多くの人にこのSTIの強靭でしなやかな走りを体感してほしい。