効果は高いが場合によって弊害もある
カー用品店に行くとエンジンオイルの売り場に置いてあるのが「フラッシングオイル」というもの。エンジン内部を洗浄して汚れを取り除くオイルなのだが、燃費やパワーが上がるメリットを謳われるのと同時に、エンジンを傷めるリスクがあるという意見も少なくない。両者が主張する根拠は何なのか改めて検証してみよう。
まず最初にフラッシングについての基本から。方法はいくつかあるが洗浄効果のある添加剤などを使い、内部に溜まったカーボンやスラッジといった汚れを落とし、エンジン本来の性能を取り戻すのが目的だ。多くの油脂メーカーからフラッシング用の製品が発売されており、それらが汚れを取り除いてくれるのは疑いようもない事実で、フラッシング否定派も洗浄効果がないと言っているワケではない。
彼らが危惧するのはフラッシングによって落ちた汚れがエンジン内部や配管類に詰まり、オイルの流れを阻害しトラブルの原因になることだ。仮にそうなった場合はエンジンのオーバーホール、もしくは載せ替えが必要になることも考えられ、よかれと思ってやったフラッシングが仇となる可能性もあり得る。
ただし、きちんと定期的にオイル交換をしているクルマであれば、汚れが詰まるほど固形化することはないと考えていい。メンテナンスの履歴が分からずエンジンの汚れが激しい中古車や、長期間エンジンオイルを交換していない自覚があるときは、信頼のおけるプロショップなどでアドバイスを受けよう。
新旧のオイルが混ざることを嫌う人も
もうひとつフラッシング否定派が懸念するのは、フラッシング用オイルと新しいエンジンオイルが混ざること。今さら説明するまでもないだろうがエンジンは構造上、どんな方法だろうと古いオイルを完全に抜くことはできない。同じ銘柄や成分のオイル同士であれば気にならないが、フラッシング剤は洗浄が目的なので、混ざることでオイル本来の性能が発揮できない、というのがその理由。もっとも混ざったところで大した比率ではなく、エンジンに悪影響を及ぼすレベルじゃないと考える人もおり、気分的な問題といえるのかもしれない。
フラッシングにエンジンを洗浄する効果はある。ただし場合によってはリスクがあるとの結論になるだろうか。先にも書いたようにエンジンオイルを長く交換していないクルマは注意が必要だし、過走行車や旧車にフラッシングを勧めないとの意見もある。そして、マメにオイル交換をしている車両ならば、そもそもフラッシングをする必要もない。
いずれにせよ自分で判断ができないときは、専門店に助言を仰ぎリスクを可能な限り減らすようにしたい。