三重県がワースト、長野県の1/20
JAF(一般社団法人日本自動車連盟)は「信号機のない横断歩道」における歩行者優先についての実態調査を実施。クルマの一時停車率を都道府県別に発表したが、地域によって大きな差が生まれたのである。
全国での調査は各都道府県2箇所ずつ、全国合計94箇所で実施。信号機が設置されていない横断歩道を通過する車両を対象(9,730台)したところ、歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止した車は1,660台。全体のわずか17.1%でありながらも、2018年の調査時と比べて8.5ポイントの増加となったが、依然として8割以上のクルマが止まらない(止まってくれない)ことがわかった。
2016年からの調査開始以来、一時停止率が最も高かった長野県においては、今回の調査で過去最高の68.6%となり、全国で最も高い結果。規則正しい生活を送る人が多いとされる長野ケンミンの特性なのか、交通法規も正しく守る傾向が高いことがわかった。一方、一時停車率が全国ワーストだったのは三重県(わずか3.3%)。自動車製造に携わる人が多いはずなのに、少し残念な結果となってしまった。
なお、2017年6月に「ドライバーが一時停止しない(できない)と考えられる理由」を調査した結果、上位3つの理由として「自車が停止しても対向車が停止せず危ないから」は44.9%、「後続から車がきておらず、自車が通り過ぎれば歩行者は渡れると思うから」41.1%、「横断歩道に歩行者がいても渡るかどうか判らないから」は38.4%が回答。これらを見れば、厳格なはずの交通ルールに対して曖昧に理解している人が多く、遵守しようという意識も低い気がしてならない。
歩行者側も横断する意思表示が必要
本来、交通ルールでは横断歩道に近づいた車両は横断する歩行者がいないことが明らかな場合のほかは、その手前で停止できるように速度を落として進まなければならない。さらに、横断歩道を横断しようとする歩行者が存在するときは、当該横断歩道の直前で一時停止し、その通行を妨げないようにしなければならず、「横断歩道における歩行者優先」を定めている。
また、歩行者も横断しようとする際は、「左右の安全を確認するとともに、ドライバーに横断する意思表示をするなどして、お互いに安全に努めましょう」となっている。「横断歩道に歩行者がいても渡るかどうか判らない」というドライバー側の意見があったように、歩行者も運転者に対して”横断します”というアクションが必要といえるだろう。
なお、車両の運転者に対して「横断歩道における歩行者の優先(道路交通法第38条)」という規定がある。罰則で3カ月以下の懲役、または5万円以下の罰金の対象となるのでご注意を。
もちろん、この道路交通法第38条は車両運転者だけの問題ではない。歩行者も道路を横断するときは、必ず横断歩道を渡り、しっかりと左右の安全確認を行なう。そして横断歩道を横断するときは、手のひら等をドライバーに見せて合図(ハンドサイン)を送り、信号機のある横断歩道では信号を必ず守りるように心がけてほしい。
”歩行者が横断歩道を渡ろうとしている時は、一時停止しなければならない”。教習所で学んだ当たり前の交通ルールを、そもそも覚えていない(知らない)という人も存在する。そして、周囲では当たり前のように停止しない人が多く、免許取得後にルールを復習する機会が少ないことも影響しているのだろう。
クルマと歩行者の事故の多くは道路横断中に多く起こっている。どちらもルールを守って優しい気持ちになれば、悲しい事故は起こるはずがないのだ。