セリカのすべてがワタシにちょうどいい
ともサンにとって愛車のトヨタ・セリカ1600GT(TA22)は、数えて5台目の愛車。これまで、ダイハツ・フェローMAXのバンに始まり、トヨタ・セリカLB、マツダ・ファミリアロータリークーペ、そしてトヨタ・パブリカと旧車ばかりを相棒にしてきた。
セリカとの出会いは2年前。「空冷式エンジンが大変で、思うように乗れなかった」と、パブリカから乗り換えたという。通勤に使えば、スーパーへの買い物にも乗って行く。旧車ということを特別視せず、普通に使いたい彼女に、ボディやエンジンが丈夫なセリカはベストといえる選択だった。
ドライブが大好きで、仕事がオフの日はワインディングに一人でふらっと出かけるほどのフリーク。旧いクルマの操り方だけでなく、ドライビングテクニックも男勝り。自らハンドルを握り、ご主人やお子さんとレジャーにも出かけるのだ。
「すべてがワタシにちょうどいいんです。サイズ感も、パワーも、丈夫なところも、走らせて楽しいところも、そしてほどよく個性的なルックスも」。
以前所有したことのあるセリカLBは、同じセリカでもここまでの相性の良さは感じることができず、ご主人が運転することの方が多かった。でも、現相棒は彼女が走らせる。可憐な水中花のシフトグリップが、その証だ。
おじさまたちの“当時話”を聞くのも好き
ともサンのご主人も大の旧車党。クラシックカーのイベントがあると聞けば、お子さんと一緒に、家族みんなで出かける。この日は、彼女が楽しみにしていた旧車イベント『Ollds Meet 2019』の開催日。会場となった兵庫県の「かじやの里メッセみき」には、100台を優に超えるビンテージ&オールドカーが集まったが、ダントツの注目度だった。
イベントに行くと、当時を知る人からよく声をかけられるそうだ。そして昔の話を聞かせてくれる。当時を知らない彼女にとって、この上なく幸せな時間らしく、旧車の魅力にハマった一番の理由とも語る。
大のクルマ好き、旧車好き。なのに、自動車を設計する会社をワケあって退社した経歴がある。
「でも、良かったのかも」と彼女。「もし、いまも働いていたら新しいクルマのことしか見る機会がない。そのままでは思い切って旧車を楽しむことはできなかったと思う」。
おしりにある給油口が一番のお気に入り
ともサンは、どちらかというと純正の良さを大切にするオリジナル派。劣化が進んでいたボディの塗装も、色変えはせず、元の純正カラー(オリオン・ターコイズメタリック)のままリペイントしている。ホイールもセリカ純正の、ホイールキャップ仕様のままだ。
ただ、完全にオリジナルをキープしている訳でなく、自分仕様にこだわる箇所もある。それがドライビングに関係する部分。ハンドルやシフトノブはもとより、アクセルペダルをオルガン式から吊り下げタイプに変えているところなどは、かなり本気度を感じる変更ポイントだろう。
「こっちの方が断然操作しやすいし、運転していて楽しいから」と話す、ともサン。今後は灯火類をLED化して、夜間のドライブも安心して楽しめるようにしたいとも言う。
独特なところにあるセリカの給油口は、そんなともさんの、大好きな愛車の中でもとびきりのお気に入りポイント。「ガソリンスタンドで、どちら向きに止めてもOKだし。おしりのフタをパカンと開けると現れるデザインが、とてもチャーミング」と笑顔で話してくれた。
“気負わず、自分らしく”がモットー。雨の日も気にせず走らせる、ともサンのフランクなセリカとの付き合い方は、彼女の生き方そのものだ。