クラッシュ多発の荒れたレースを無事に完走
アメリカでもっとも人気のある自動車レースである「NASCAR(ナスカー)」の3大カテゴリーのひとつ「2019NASCAR Gander Outdoors Truckシリーズ」は、前戦のラスベガス戦からなんと1ヶ月近いブランクを経て、10月12日(土)、第20戦をアラバマ州タラデガにあるタラデガ・スーパースピードウェイ(全長2.66マイル)で迎えた。
このナスカー・トラックシリーズの2018年シーズンのチャンピオンチームで、ナスカー唯一の日本人オーナーである服部茂章氏が率いる「Hattori Racing Enterprises(HRE)」の16号車「UNITED RENTALS TOYOTA TUNDRA」は、前戦で今季3勝目を挙げ「プレーオフ・ポイント(第2ラウンドまで持ち越せるポイント)」を獲得。プレイオフ第2ラウンド進出を決めている。
第2ラウンドのスタートとなる第20戦「Sugarlands Shine 250」は、ナスカー・シリーズ最大バンク角33度を誇るタラデガのトライ・オーバルコースを94周(レース距離400 km) で競い合うレース。10月11日(金)に練習走行、そして12日(土)は予選と決勝が行われる。決勝レースは、第1ステージ、第2ステージが各20周、最終ステージ54周の計94周で争われる予定だった。しかし、波乱のレースとなり2度のオーバータイムでレースの合計周回数は98周となった。
決勝前日のフリー走行からHREの16号車は調子がよく、ステアリングを握るオースティン・ヒル選手は、決勝を見据えたロングランに合わせたセッティングで予選に臨み13番手で通過。午後1時半、決勝レースはスタートした。
このタラデガのコースは、ドラフト(スリップストリーム)が強く効くため、単独での走行では前に出て後続を引き離すということは難しい。後続のマシンが先頭に連なって隊列を組んでくれなければスピードは落ちていく。そのためのポジション取りが重要なコースだ。このレースもスタートと同時に2ワイド、そして3ワイドになって各車が隊列を組むようにして周回が重ねられていく。
16号車もレース序盤に7番手までポジションを上げるものの、すぐに集団に飲み込まれてしまう。レースは序盤に赤旗が出されることもあったが、16号車は無事に第1ステージを7番手で終了。そして第2ステージではさらにポジション・アップに成功し、ステージ終了間際にはトップにまで浮上。しかし、後続車からのサポートがなかったため、また後続集団に飲み込まれ第2ステージを13番手で終えた。
そして、このステージコーションで、多くのマシンが給油だけでコースに戻る中、HREは給油とともに16号車の右側2本のタイヤ交換を行いコースに戻す。そして13番手から最終ステージを迎えたヒル選手は、前車をパスするチャンスを逃すことなく、残り8周の時点で7番手までポジションアップ。しかし、ここでトップを走行していたマシンとその後続車が接触し、周囲のマシンを巻き込みながらスピンし、ここで再び赤旗が出されレースは2度目の中断。16号車はこのアクシデントに巻き込まれることなく無事であったが、このタイミングでの赤旗ということで、レースはオーバータイムとなり規定周回数に5周が追加されることとなった。
92周目、16号車は5番手からリスタートしたが、直後に再びクラッシュが発生し、さらに3周が追加されることに。9番手からリスタートしたヒル選手は残り少ない周回で2台をパスし7位でチェッカーを受け完走した。その後、トップフィニッシュした車両が後続車のブロックのため、コース内側のイエローラインをカットしたことでペナルティを受け降着。16号車は最終的に6位となった。しかし、残念ながらランキング順位は2番手から3番手にに後退してしまった。
プレイオフ第2ラウンドは残り2戦となり、最終ラウンドへ進出する4枠を争うこととなる。次戦「NASCAR Hall of Fame 200」は、バージニア州マーティンスビルにあるマーティンスビル・スピードウェイで10月26日(土)の開催となる。