ワンコのクルマ酔いを防ごう
面白い数字が一般社団法人「ペットフード協会」の行った平成30年の集計結果から出されています。それによると、日本の全世帯数の実に13%の家で、犬が飼われているとか。しかも室内での飼育が増加しているそうで、まさに犬も立派な家族の一員。だからこそ週末には、愛犬といっしょにドライブを楽しみたいものです。
そこで、私のお店でもよく質問されることが多いのが、「愛犬のクルマ酔い」について。ここ数年で相談件数が増えてきました。近場は何とかなるけど、クルマでの遠出は心配ですよね。
ソワソワにヨダレやあくびは黄色信号!?
愛犬とクルマで出かけているとき、愛犬が急にソワソワして落ち着きがなくなったり、ダラダラとよだれをたらしたり、頻繁にあくびをするようになったらクルマ酔いの黄色信号かもしれません。症状が悪化すると嘔吐や嘔吐による脱水症状につながることがあり大変危険です。
実は犬の耳にも内耳と呼ばれる部分があり、三半規管や前庭(ぜんてい)で体の平衝感覚やバランスを感知しています。この器官が刺激されると自律神経系が乱れ、平衡感覚が崩れやすくなり「クルマ酔い」につながるのです。
また、人の視野は180度ですが、犬の視野は250~270度もあり、視覚からも体の位置や傾きを知り姿勢を保っていると言われています。クルマ酔いの症状は耳と目で得た情報を脳が処理できなくなったときに現れるのです。
愛犬がクルマ酔いする原因は様々。そんな具体的に例を挙げてみましょう。
愛犬がクルマ酔いする原因
・愛犬の睡眠不足や体調不良
・クルマに乗ることへのストレスや不安など精神的な負担
・車内の換気不足や温度や湿度の調整不足
・車外の排ガスやガソリンなどの臭い
・走行中の不規則な加速、減速、カーブなどの車体の揺れやアイドリング時の振動
愛犬の睡眠不足や体調不良が原因ならば一時的なクルマ酔いであり、快方に向かいやすい。しかし、普段クルマ酔いをしない犬が気分を悪そうにしたり、頻繁にクルマ酔いが続いた場合には、耳や脳に病気が隠れていることもあるため、動物病院での受診をおススメします。
では、クルマで愛犬との移動を快適にするための「クルマ酔い」を防ぐポイントを具体的に紹介します。
ドライブ前の食事は少量、水分は多め
食後は胃や消化器官が活発に活動し、嘔吐しやすい状態。逆に空腹時も自律神経の乱れにつながります。よって移動直前の食事はなるべく避け、食事は少量にして水分をとり、トイレを済ませるようにして下さい。
もしも食後に移動される場合は、愛犬の体調を見ながら、およそ2時間ほど時間をあければ落ち
犬の動きを制限して心と身体の負担軽減
愛犬のクルマ酔いは周りの景色が見えなかったり、クルマの振動や揺れで体が安定しない事が原因になりがち。クレート(移動の際に愛犬を運ぶカゴ)等をシートやラゲッジスペースに固定したら、普段使っているブランケットやタオルなどを中に入れ、愛犬自身の普段の匂いで落ち着く環境を準備してあげてください。愛犬の動きを制限し、安心させることをおススメします。これだけでも犬が落ち着ける環境になり、移動することができます。
また、心理的ストレスを軽減するためには視覚や嗅覚情報を制限したいところ。クレート等に通気性の良い布等を被せたり、こまめに空気を入れ替えをし、車内を新鮮な空気で保つようエアコン等で温度調節をすることもクルマ酔いを防ぐ効果があります。
愛犬をフリーにしたり膝の上へ乗せたり、抱いたりすることは人間が想像する以上に犬には揺れがあり、不安定になっています。愛犬はクルマの加速や減速、いつ曲がるのかまったくわかりません。クルマが揺れるたびに姿勢を保とうと踏ん張ります。乗車時に起きてしまう大きなケガや悲しい事故を未然に防ぐためにも、体の動きを制限させることで心とカラダの両方の負担を軽減できるようになるでしょう。
クルマ酔い症状が出たら早めに安全な場所にクルマを停め、空気の入れ替えと水分を補給して脱水症状を防ぎ、回復するまで十分な休憩を取ることをおススメします。また、嘔吐するとさらに吐きやすくなるため、回復しても車内の温度に注意し、普こまめに休憩を取りながら様子を見て安全運転でお出かけください。
クルマ酔いの原因や予防、ケア方法などを知ることで、愛犬との快適なお出かけを心がけて、素敵な想い出づくりのドライブを楽しんでください。
プロフィール:小松 雅人(こまつ まさと)
フランス系自動車インポーターに10年ほど勤務。在籍中に自身の愛犬のためにペットシッター士、ペット用品取扱士、家庭犬トレーナーなどの資格を取得。愛犬との安全で快適なお出かけをモットーにイベントや用品開発に関わる。
現在は、シニア犬のフリーマガジン「ぐらんわん!」が運営するレスパイト&ドッグケアカフェmeet ぐらんわん!の店長としてセミナーの開催や愛犬との生活を自動車業界とペット業界の両視点からパピーからシニア犬のドッグケア・アドバイザーとして在籍。