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車検証はカードサイズへ 2023年導入予定「IC自動車検査証」がもたらすメリットとは

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TEXT: Auto Messe Web編集部

スキミング問題などの課題も 

 ICチップ入りの運転免許証が導入されたのは、12年前の2007年だが、今度はICチップ入りの自動車検査証(車検証)の導入を国土交通省が検討している。

 この夏、国土交通省は自動車検査証(車検証)の電子化に向けて、自動車検査証をICカードにした場合の活用方法を募集。現在の紙製の自動車検査証を廃止し、電子化する検討を始めると発表した。実現すれば、クルマを保有するための関連手続きが全てオンラインで行なえる可能性があるといい、有識者らによる会議を経て、具体的な方法の検討に入る予定だ。

 自動車検査証をICカードに切り替えることのメリットとして、カードに内蔵されるICチップを他の行政機関や民間事業者に活用してもらうことを想定。国土交通省に設置した「自動車検査証の電子化に関する検討会」において進めている内容の大筋は前述の通りだが、より良いアイディアが生まれることで、活用性があるとしている。

 自動車検査証の電子化は2023年度中に、クレジットカードや運転免許証などと同サイズに変更する方針。国交省はもともと「車検証の交付は公権力の行使に当たる」として電子化には否定的だったのだが、ここにきて導入という方針を明確にしている。

 重い腰を上げたのは「自動車保有関係手続きのワンストップサービス(OSS)」をテコ入れする狙いと利用率を高めるためで、2005年に一部の地域と手続きからスタートした”OSS”はインターネット上で、手続きや納付などを一括して行なうことを可能としている。2017年4月から対象手続きや地域を広げたが、手続きの4割を占める継続検査の利用では浸透していないのが現状だ。

 国土交通省は新車登録で8割、継続検査や中間登録で最大7割の手続きをOSSに移行させたいと考えており、電子化することでディーラーや整備工場などの手間を減らすことを考えている。実際に自動車整備業では、他の業種と同じように、高齢化や人手不足が問題となりつつあるので妥当な考えといえるようだ。

 OSS経由で継続検査を済ませた場合、オンラインで更新情報を整備工場に送信し、車検カードの内容を書き換え。そして、有効期間を示す検査標章(ステッカー)は整備工場が印刷して車両に貼付するといった手法が想定されており、陸運支局へ足を運ぶ必要もなく、継続検査を終わらせることが可能に。すでにオランダやスロバキア、オーストリアなどでは、日本の自動車検査証に相当する証明書がすでに電子化されている。

 また、導入されるICカード自動車検査証のチップだが、先に導入されたIC運転免許証について警視庁のウェブサイトでは「至近距離(約10cm)まで近づくとICチップ内の個人情報が読み取られるおそれがあります」という記載されるように、RFIDタイプのICチップを使用しているようだ。このため、IC運転免許証では、本人に暗証番号を設定させ、管理させるシステムとして、簡単に情報をスキミングさせないようにしている。

 同じようなチップを使用したICカード自動車検査証になった場合、本人の暗証番号管理となることが想定されるが、車検のたびに第三者に暗証番号を知られてしまうことも心配されるため、管理方法をより慎重に検討する必要がある。

 というのもアメリカでは運転免許書、パスポートで使用している”RFIDタイプ”のチップがスキミングされ、データの読み取りや書き換えされてしまうと問題が起きているのだ。

 国土交通省では不正アクセスや情報漏えい、偽造、スキミングなどの課題も対策しつつ、「車検切れの車両はエンジンが始動しない」など、官民による車検カードの活用策についても2023年までに検討する方向としている。

 余談だが、RFIDチップを使ったIC自動車検査証となった場合は、個々で電波を遮断するスマートキーケースなどに入れて対策するなど、そんなことにならないことに期待したい。

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