手に入れたのは旧車ではなくタイムマシン
18歳の時に乗り始めたホンダのライフステップバン(VA型)とは、かれこれ26年の付き合い。他にホンダの名車S600も所有する、自他共に認める大の旧車フリークだ。
オーナー田村さんの元に、3台目の旧車となる『デロリアン(DMC-12)』が届いたのは、今から4年ほど前のこと。DMC-12乗りの多くがそうであるように田村さんも、子供の頃に見た映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」への憧れからオーナーになった。
「映画を見た当時は、実在するクルマとは知りませんでした。それが、免許を取れる年頃になって実際に存在すると知って、よりいっそう手に入れたい気持ちが強まった感じです」。
ウエッジシェープなフォルムにガルウイングドア、そしてメタリックなステンレス製のボディ。時代が進んでもなおSFチックなルックスが、所有したい気持ちに拍車をかけた。ただ、念願叶って実際に走らせた感想は、想像していたのとは大違いだったそうだ。すなわち、いたってって普通の乗用車。未来的なルックスとのギャップに拍子抜けしてしまったという。
とはいえ、DMC-12がバック・トゥ・ザ・フューチャーに登場したタイムマシンのベースになったクルマだったことが原点。田村さんは手に入れたDMC-12に惚れ込んだのである。
「このクルマに、スピードはいらないんですよ。ガルウイングを開けて、シートに収まり、ステアリングを握る。それだけで気分はヒーロー。世界が熱狂した映画の世界に入り込んだ気分になれます」と嬉しそうに話す。
ステアリングパッドに書かれた文字は、映画の中でDMC-12をベースにタイムマシンを製作したドクを演じた「クリストファー・ロイド」直筆のサイン。昨年(2018年)の暮れに東京で開催された「ハリウッド・コレクターズ・コンベンション」にステアリングを持参し、書いてもらった宝物だ。
世界的なヒット作となったバック・トゥ・ザ・フューチャーの封切りから35年。DMC-12は田村さんにとって、映画を見てワクワクしたあの時代にいつでもタイムスリップさせてくれる、文字通りのタイムマシンになった。