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バック・トゥ・ザ・フューチャーの劇中車「デロリアン」に魅せられた男のロマン

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TEXT: 勝森勇夫  PHOTO: 勝森勇夫

悩みは目立ち過ぎて滅多に乗れないこと

 スタイリングはもちろん、居住性や操作性も意外なほど良好。付き合うほどに新しい発見があり、魅力が高まるDMC-12。それでも、田村さんには不満に思うことが一つだけある。あまりにも目立ち過ぎて、思うように乗れないことだ。

 クルマに興味のない人まで知っているほどのモデルだけに、駐車場に停めただけで人だかり。小さな子供たちが珍しがって、ステンレスのボディをペタペタと触る。「周りに迷惑をかけてしまうし、そうそう乗って出られないですよ」と田村さん。

 よってお出かけ先は、あまり目立ちすぎない「旧車のイベント」がほとんど。この日の『Ollds Meet 2019』の会場は、久しぶりのツーリングの目的地になった。

 18歳から乗り続けるステップバンは、カスタムイベントで賞をもらうほどの作り込み。しかし旧車イベントでの集客力は、デロリアンDMC-12にはかなわない。

 やっぱりこのクルマはタイムマシン。どんなビンテージモデルでも敵わない夢の乗り物的な存在感が、DMC-12にはあるのだ。

 

コンディションキープは意外に容易!?

 ちなみにDMC-12がミドシップに搭載するパワーユニットは、プジョー、ルノー、ボルボが共同開発したV型6気筒のPRV型。一般の乗用車にも汎用搭載された、実用性の高いスペックのエンジンで、DMC-12が「きわめて扱いやすいスーパーカー」と言われる所以だ。

 さらに、このクルマのパーツは現在も大半が流通していて、誰もがネットで簡単に入手できるとか。「パーツが欠品してしまう日本の旧車よりも付き合いやすいかも」と話す。

 もちろん、電気系の不具合や、燃料ポンプが動かないといった軽微なトラブルは起こる。しかし、ウイークポイントに注意して、普段のメンテナンスを怠らなければ、入院が必要なほど大事に至ることはまずないそうだ。

 ターボを搭載して高出力化するなど、海外ではチューニングベースとして酷使されることも多い。手に入れる際は、その点に注意すれば、ハズレを引く心配も少ない。「愛知県の方にはこのクルマ専門のショップもあるし、オーナーズクラブに入れば情報の収集にも困りませんよ」と田村さん。世界中に熱狂的なファンがいるデロリアンDMC-12のコンディションキープは、意外にしやすいよう。

 相棒との付き合いは”過去”ではなく、”未来”に向けてますます走っていくことになりそうだ。

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