GTIより60馬力増しの290馬力エンジン搭載
FF2ボックスモデルの元祖、フォルクスワーゲン・ゴルフ。そのホットモデル「GTI」に、圧倒的性能を誇る限定車「ゴルフGTI TCR」が600台限定で登場した。
ゴルフはWTCR(世界ツーリングカー・カップ)というレースに参戦しているが、そのレーシングカーのストリートバージョンという位置づけがゴルフGTI TCR。通常のゴルフGTIとはまったく別物といえるほどの性能を秘めている。
2リッターターボエンジンは310psを発生する4WDのゴルフR用DJH型がベース。駆動方式(FF)などに合わせて最高出力は20ps抑えられた290psとなっているものの、通常のゴルフGTIのじつに60ps増し。歴代GTI最高のパフォーマンスを発揮する。FFハッチバックモデルで、現在世界最速モデルの1台であることは間違いない。
ちなみに、2016年には、同様にDJH型2リッターターボに換装し、オーバーブースト時に290ps(通常時265ps)を発生する“クラブスポーツ”が限定販売されているが、今回の“TCR”では、ミッションが2ペダル式MTの7速DSGにバージョンアップしているのがミソ。0-100km/h加速タイムはクラブスポーツの6速DSGの5.9秒を凌ぐ5.6秒を誇るに至っている。
さらに電子制御油圧式フロントディファレンシャルロックや大径のブレーキディスクなどシャシー面も強化。ヨーロッパ最大のエキゾーストメーカー「アクラポヴィッチ」社製のチタンエキゾーストシステムも装備される。
内外装もスペシャル。フロントリップスポイラー、サイドスカート、リヤディフューザーに加え、ドアミラーとルーフもブラックペイントとなる。室内は赤いラインの入った専用ファブリック&マイクロフリースシートを装備し、ステアリングホイールも赤のアクセントが入った専用品。また、ドアを開けると地面にTCRのロゴを投影する機能など遊び心も併せ持つ。
レーシングマシンの公道仕様というと、装備面は簡素だと思われるかもしれないが、このクルマには当てはまらない。コンフォート、ノーマル、スポーツの3モードを備え、ダンパーの減衰力や電動パワーステアリングの特性を変化させるDCC(アダプティブシャシーコントロール)に加え、前走車に合わせ自動で加減速するACC(アダプティブクルーズコントロール)や自動ブレーキを網羅。ホイールはマットブラックの専用19インチが装着される。
純正ナビの「Discover Pro」を装備しモバイルオンラインサービス「Car-Net」にも対応など、装備面は超が付くほど充実しているのは興味を引くポイントだ。
ちなみにWTCRとはWTCC(世界ツーリングカー選手権)を引き継いだ国際規格の自動車レース。全長4.2m以下とコンパクトで二輪駆動、排気量は2L以下のターボエンジン……などの規定がある。参加車両はフォルクスワーゲン・ゴルフを始め、ホンダ・シビック、アウディRS3など。10月26〜28日には日本の鈴鹿サーキットでも開催され、レース3では見事にゴルフが優勝している。
※希望小売価格 フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR 509万8000円