ホイールの性能でラップタイムが変化する
ブリヂストンが誇るスポーツ系ブランド・POTENZA(ポテンザ)。リアルスポーツに特化したハイグリップタイヤ「POTENZA RE-71R」と組み合わせることを想定して生み出されたアルミホイールこそ、鍛造1ピース構造を採用する「POTENZA RW006」だ。軽さ、強度、耐久性など機能面を徹底的に追求した最強のリアルスポーツ。サーキットでラップタイム短縮を目的に開発されたブリヂストン最強タイヤPOTENZA RE-71Rが持つ、高いパフォーマンスを確実に引き出すことができるホイールだ。
「鍛造(たんぞう)」とはその名の通り「鍛えて造る」製法で、熱したアルミに数千トンもの圧力をかけて製作される。
「日本刀も熱して叩いて鍛えていきますが、それと同じ原理。力を加えて押し潰すことで金属の組織が緻密になり、軽量で強いホイールを作れるのです」と語るのはブリヂストンリテールジャパン自動車用品販売部の髙野課長。
「クルマの性能(パワー)が高まり、タイヤのグリップ力も向上。それを受け止めるホイールの剛性が低かったら、理想とするタイヤの接地面を作り出すことはできません。とくにプロドライバーは、わずかな剛性の差がタイムの差となって現れます。もちろん、ハンドリングやタイヤのグリップ感の違いも指摘されます」と髙野課長は、ホイールの剛性の重要性を言う。
一般的にホイールは、溶かしたアルミを型に流し込み、冷えて固まったところを取り出す「鋳造(ちゅうぞう)」が主流。鍛造より強度や軽さは劣るものの、比較的低コストで作れるのが利点だ。対して鍛造は高性能だが、手間も時間もお金も掛かるため高級品といえる。
RW006の場合、『鍛造+総切削加工』で生産されている。まずアルミの塊に非常に高い圧力で型を押しつけ、鍛造でお椀のような形に成型した。そのあと、リム部分をスピニング加工で伸ばしていくのだが、この時も高い圧力をかけて引き伸ばされるため、より剛性が向上する。この製法を採用することで、薄くて強靭、かつ軽量なリムが完成するわけだ。その後、すべて切削加工でデザイン面を削っていくという製法を採用。そのため時間と手間を惜しまない高精度の仕上げが可能となる。
性能を優先させた6本スポークデザイン
デザイン面では、6本というスポークの本数にもきちんと意味がある。
「リムを支えるスポークは3の倍数が効率的です。360度の円を60度刻みに区切ると、正三角形に近いカタチが6つできますよね。その正三角形で円状のリムをバランス良く均一に支えるイメージです」と髙野課長。
しかも、ただの6本スポークではない。シングルスポークにツインスポークを組み合わせることで、視覚的な軽快感も演出。さらに限界まで無駄肉をそぎ落とすべくサイドカットも施され、スポーツホイールらしい引き締まった印象に。高剛性と軽量化を突き詰めた結果、この機能美溢れるデザインが生み出された。
また1ピースといえば、スポーク天面とリムフランジをフラットに繋げたモデルが多い中、マルチピースホイール風のいわゆる「リムあり」構造を採用。リムとスポークの接続部はできるだけ深い位置に設定し、そこからダイナミックにスポークを立ち上げることで抑揚をプラス。センターを落とし込んだコンケーブフェイスも特徴になっている。
「ちなみにスポークを側面から眺めると、数字の『7』のように見えます。POTENZA RE-71Rのトレッドにも『セブングルーブ』と呼ばれる『7』を象ったような溝が刻まれているのですが、それとの密かな共通点になっています」と髙野課長。
密かといえば、リムビードシート部(タイヤが装着されるところ)にさり気なくアンチスリップ処理が施されているのもRW006ならでは。これはスポーツ走行中の急激なブレーキング時など、過酷な状況下でもタイヤがリムからズレないようにするための処理。普段使いで効果を体感することは少ないだろうが、こうした仕様はさすがは本格派のスポーツモデルだ。
深さが異なる10種類のディスクをラインアップ
カラーは3種類。一番人気は精悍なフラットブラックで、レーシングシルバーはボディ色や車種、スタイルを問わず合わせられるのが魅力。レーシングパールレッドはレース意識のユーザーに好まれる傾向だ。オプションでそれぞれの色に合わせたロゴ入りセンターキャップも用意されている。
サイズ展開は、5H-114.3は16×7J~19×11J、5H-100が16×7J~18×10J、4H-100は15×4.5J~16×7Jと幅広く、インセット値のバリエーションも豊富。1ピースとしては異例なほどきめ細かく設定されている。そして驚異的なことに、サイズごとにリムの深さやディスク中央の落とし込み具合まで変えているという。
具体的には、リムの深さはS・M・Lの3タイプ。ディスクはセンター深さの異なるL・L0・L1・L2・L3・D0・D1・D2・D3・D4の10タイプを用意。それぞれリム幅(J数)やインセットに応じて最適なものが組み合わされる仕組み。例えば同じ18×8.5Jでも、+35と+45ではリムの深さもディスク形状も変わるのだ。
少し専門的な話になるが、メーカーとしてはディスク裏のハブまわりの厚みを調整するだけで異なるインセットを製造できる。つまり同じリム深さ&ディスク形状で+35も+45も設定できるわけだ。生産性やコストを重視するならそちらの方が好都合。だが「最大限にリムの深さやディスクを落とし込みを確保する」には、サイズごとに最適なリム・ディスクを設定するのがベスト。そんな理想をストイックなまでに追求している。
「そのためRW006は全サイズ受注生産。オーダーをいただいた後、国内工場にて鍛造素材から削り出して作ります。お届けできるまで少々時間は掛かってしまいますが、お客様の愛車に合わせた最高の1本をご提供いたします」と髙野課長は語る。
ストリートでRW006をドレッシーに装着したいユーザーには、オプション(別売り)のキャップがオススメ。カラーは3タイプを用意する。
ブリヂストンリテールジャパン株式会社
https://www.bs-awh.ne.jp/poten
TEL:0120-036710