サーキットなどで運転が上達するクルマ選び
初心者がサーキットなどで「スポーツドライビングを楽しみたい」、「ドライビングスキルを磨きたい」と思ったときに真っ先に浮かぶことはなんだろうか? 「ひたすら走り込む?」、それとも「グローブやシューズなどの道具選び? 」……だが、実はパートナーとなる「愛車選び」が非常に重要なのだ。
それでは、ドラテクが磨けて、走っても楽しいクルマ(現行車)とはどういったモデルなのか? ”Auto Messe Web”で不定期連載をしている「プロに聞く!」シリーズでおなじみの澤 圭太選手に聞いてみた。
澤選手は2019年シーズン、マクラーレン720S GT3でブランパンGTワールド チャレンジ アジアに参戦(表彰台2回)しているプロドライバーながら、一般ドライバー向けのドライビングレッスン「ワンスマ(ワンデイスマイル)」のイベントを年間70~80回も開催。それだけに、レッスンを受ける生徒はもちろん、サーキット初心者などにおすすめできる、“いいクルマ”についても深い造形を持つ人だ。
“回頭性”のいいクルマとは?
澤「最近乗ったなかで、“いいクルマ”と言えるのはアルピーヌA110ですね。アルファロメオの4Cとジュリアもいいと思いましたが、サーキットを連続走行するとなると、ブレーキ容量がちょっと足りない気がします。同じ輸入車でもBMWならM2コンペティション。国産では、スズキのスイフトスポーツ(ZC33SやZC34S)とマツダのロードスター(ND)がおすすめですね」。
なかなか興味深い車種の名前が出てきたが、澤選手にとって“いいクルマ”の条件とは何なのだろう。
澤「パワーが増大している最近のクルマは、
ですが、スポーツ走行などでは、元々のクルマの素性として“良く曲がる”
続けて「そういったクルマの例を他にも挙げると、昔のクルマですがトヨタのMR-Sなどはいいですね。GRスープラは、まだ乗ったことがないのですが、あれもトヨタ86よりもホイールベースが短いので、非常に気になっている一台です」。
そして、こういった「回答性の高いショートホイールベース化が出来る」クルマの条件は、澤選手によると「軽い車体と過激すぎないパワーを持つ」車両だという。
アマチュアドライバーの中には、ハイパワーのマシンが好きで、その車両でサーキットを始める人も多い。だが、「(ハイパワー車は)扱いきれないため、ライトウェイトの“使いきれるマシン”に変更し、スキルアップした後に、また元のハイパワー車両に戻る」といった人を沢山観てきたという澤選手。
彼ならではのアドバイスとして、ドライビングのスキルアップを目指すなら、「パワーは自身のスキルを向上させた後の“最後のボーナス”だと思うこと」という。
まずは駆動方式、サーキットでのラップタイムだけに注目せず、ディメンション、とくにホイールベースと軽さに注目して、トレーニング用のクルマをチョイスすることも考えてみよう。