レクサスは世界市場を視野に入れた車名を採用
分かりやすい例をひとつ挙げよう。日本を代表するプレミアムブランドのレクサスも、グローバル市場が主戦場となるため、英字と数字で車名を構成している。これはほぼ全世界の市場に対するレクサスの共通戦略だ。
1989年に誕生し、30年ほどの歴史となるレクサスが欧米の市場に打って出る際、なぜ車名に2つの英字と数字の組み合わせを採用したのか。それを考えれば、海外で高級車をイメージさせるものとして何が必要なのか、そして今、キャデラックがなぜ車名変更を急いでいるのかが理解できると思う。
ちなみに、車名ではなく社名に目を移すと、
●創設者の名前(ポルシェやプジョー、フェラーリやランボルギーニ、ロールス・ロイス、マセラティ、トヨタ、ホンダ、スズキなど)
●いくつかの頭文字の組み合わせ(アウディやBMW、フィアット、アルファロメオなど)
●地名や地名と人物名の組み合わせ(いすゞや日野、アストンマーティン、AMGなど
このように、そのルーツとされる場合が多いのだが、前述のLEXUS=レクサスに関していえば、その名称には特定の意味はないというのが通説だった。
「Luxury Exports to the U.S. (アメリカへの輸出高級品)」の頭文字から取られたという説や、ドイツ語の「Luxus(贅沢)」からの造語という説もあったが、トヨタの公式見解は「ラグジュアリーと最先端テクノロジーを表す造語。レクサスのブランド名に決定する前はアレクシスやレクシスが候補に挙がったがレクサスに決定した」ということである(レクサスの広報誌BEYOND BY LEXUSに掲載)。このストーリーを先進的と捉えるか、伝統がないと感じるかは、もちろん自由である。