半世紀前の個体で完全オリジナル、走行距離3万キロ
過日(10月23日)本WEBで伝えしたとおり、去る10月24日、イギリス・ロンドンで開催されたクラシックカーオークションの最大の目玉は、スーパーカーの代名詞ともいえるランボルギーニ・ミウラ(P400S)だった。納屋に放置され、ホコリにまみれた状態にもかかわらず、落札価格は1億1207万5848円から1億4009万4810円と予想されていたが、果たしていくらの値をつけたのだろうか? その結果をお伝えしよう。
※当オークションでは原則として落札者の個人名やスタート価格などは公表していないため、以下結果のみの報告であることをお許しいただきたい。
1969年にランボルギーニの工場から出荷されたそのミウラP400Sは、最初のオーナーの居住地であるドイツに納車されたのち、1974年には2人目のオーナーの手へと渡り、41年間、オーナーが亡くなる2015年まで走行可能なコンディションを維持。さらに、それから4年後の2019年にエンジンルームや室内にホコリの被っている状態で発見された。業界用語でガレージや納屋などに長年眠っていた名車が見つかることを“バーン・ファインド”というが、このミウラはまさにその言葉を地でいくレア物件だ。
わずか140台しか生産されなかったミウラP400Sの当時の新車価格は約1200万円。現在の物価に換算すればおよそ1億円だが、その希少性と近年のコレクターズアイテムブームによって、当初予想された落札価格1億4009万4810円を3000万円以上も上回る1億7396万9291円(1ポンド:139.3円・10月26日現在)でハンマーが打たれた。
過去にも多くのミウラが世界中のオークションにかけられているが、約半世紀も前の、しかも良好なコンディショとはいえない車両が新車価格(現在の物価に換算した場合)の倍近くの値で落札された理由は、わずか3万キロという走行距離の少なさに加え、塗装、インテリア、エンジン…そのすべてが新車時と同じオリジナルの状態を保っている点にほかならない。
ミウラの場合、内外装をフルレストアすると、3000万円から5000万円以上かかるといわれるが、「現状のまま、エンジンやミッション、足回りなどの機関系だけオーバーホール(整備分解)したほうが価値を維持できるはず」と、日本でミウラを10年以上所有するオーナーは言う。