世界に10台とない“幻の”イオタは3億円!?
かのように、希少なミウラP400Sや、レアなディーノなど「血統」が確かなクルマは、世界的オークションにかけられるのが通例。だとしたら、これもスーパーカー世代にとって憧れの存在、“幻のランボルギーニ”とも呼ばれる「イオタ」がオークションに出品されたとしたら、いったいどんな値が付くのだろうか?
イオタは、ミウラを超えるモデルとして、1969年から1970年にかけてランボルギーニのテストドライバーだったボブ・ウォレスの提案によって1台のみ制作された試作車。そしてレースへの参戦も睨み、ウォレスが当時のFIA(国際自動車連盟)に定められたレーシングマシンの規則に従って開発を進めたとされている。じつは、イオタ(JOTA)は俗称で、正式なプロトタイプ名は「J」。当時のレギュレーションに設けられていた国際モータースポーツ競技規則付則J項の“J”をギリシャ読みした際の発音「イオータ」に由来するという。(画像はクローンモデル)
しかし、その計画はレース嫌いの創設者フェルッチオ・ランボルギーニには認められず、試作車は売却。3人目のオーナーの手に渡った直後、まだ開通していない道路でクラッシュし、焼失してしまった。1971年4月28日のことだ。
事故後、“J”のレプリカを製作してほしいという、ミウラSVオーナーの熱烈なリクエストに応えるかたちで製作されたモデルこそがイオタ・レプリカ(正式名称はミウラSVJ)だった。正確な製作台数は不明ながら、この車両のように、既存のミウラSVにランボルギーニ社が直接手を加え、公に認めたレプリカは世界で10台にも満たないといわれている。
見ることすら貴重なイオタ・レプリカ。さすがにオークションに出品されることはないだろうと念のため調べてみると、かつて日本にあった個体(ミウラSVJ)が、再び海を渡り、2015年の米国・アリゾナオークションに出品され、2億2011万円(1ドル:116円換算・2015年1月15日現在)で落札されていた。ミウラ自体が毎年のように大幅に値が上がっているため、それから4年がたった現在なら3億円近い落札値が付いても不思議ではない。
なお、「SVJ」とはリヤウイングの有無など外観が異なる、世界で1台のみ製作されたイオタ・レプリカのミウラ「SVR」は、2018年6月にイタリア・ランボルギーニ本社のレストア部門で復元された個体が日本に現存。ランボルギーニ大阪の新ショールームのオープンを祝う式典で展示されたという情報以外、オーナーの個人名や売却価格などはいっさい明らかにされていない。
いまだに出口の見えない世界的な景気低迷もどこ吹く風…クラシックスポーツカー市場の盛り上がり、オークション価格の高騰はとどまることを知らない。