S660専用パーツの充実化で個性を主張
発売から4年が経ち、アフターパーツの充実でますますカスタム熱が高まるホンダS660。11月3日、九州は熊本の阿蘇山の麓で「第5回 頑張ろう九州 S660全九オフ」が開催された。これは九州S660オーナーズクラブ主催で行われる、熊本の震災被害復興のチャリティも兼ねたイベント。参加費やチャリティーオークションなどで集められた資金の一部は義援金として日本赤十字社に募金するというものだが、それに賛同するS660オーナーが全国から集結した。
そんなこともあり、全国的にも有名なハイレベルにカスタマイズされたS660が多く集まることでも知られている。イベントに参加したS660には、これからチューニング&ドレスアップを始めようとしているオーナーならば参考になるアイデアが満載。1/1オモチャ的スーパーカー遊びに見るミッドシップ2シーターS660の激アツぶりに触れつつ、イジり(カスタマイズ)のポイントを厳選してみた。
機能編・フットワーク
S660をドライブした経験がある人からは「純正でも非常に良くできた足まわりだ」というコメントが多く聞かれる。ミッドシップリア駆動そのもののハンドリングの良さやボディ剛性、純正タイヤとして採用されているアドバンネオバAD08の高いグリップ力を合わせると、一般道では申し分ないパフォーマンスを発揮する。
しかしながら、スポーツドライビングを楽しむスピードレンジが高くなると、純正では役不足は否めない。純正の出来が良い分、そのままでもサーキットを走れてしまう気にはなるが、やはり、アフターパーツのスポーツサスペンションキット、ブレーキの強化は必須。あとは軽量なスポーツホイールをチョイスするのも効果的で、ミッドの軽快な走りをさらに引き出すことが可能になる。
機能編・ターボチューニング
S660には、ほかのホンダの現行軽自動車と同じ”S07A型”の水冷直列3気筒DOHC12バルブターボエンジンを搭載するが、専用チューニングが施されている。しかしながら多くのオーナーはそのパワーに飽き足らず、何かしら手を加えていることがほとんど。ただし、闇雲にピークパワーを追求しても、ECU制御によって強制的にパワーダウンさせるようにプログラムされていることを理解する必要がある。なぜなら、エンジン冷却に不利と言われているミッドシップエンジンは、オーバーヒートに対しては神経質にならざるを得ないからだ。
その上で、S660チューニングの定番になっているのが、エアクリーナー、サクションパイプ、インタークーラーパイプ、マフラーのハイフロー化。これに、HKSのフラッシュエディターで純正ECUをリフラッシュしてブーストアップなどで80馬力程度まで高める方法が人気という。
さらなるステップアップでは、HKSがリリースしている100馬力ターゲットのタービンキットにコンバートするという手もある。そしてそれらを活かすためのクーリングにも気を使いたい。大容量のインタークーラーやラジエターで冷却系を強化したり、オイルクーラーを増設してオーバーヒート対策を施すのがミッドシップにとっては何より重要になってくるのだ。
外装編・エアロパーツ
S660イジりのイチバンの醍醐味となっているのが、各アフターパーツメーカーからたくさんリリースされているエアロパーツの装着。ミッドシップカー特有の引き締まったプロポーションをさらにスーパーカーシルエットにするボディパーツは常に注目の的である。
なかでも定番は、前後バンパー、サイドスカート、ボンネット、エンジンフード。これらはルックスを一新させることはもちろん、エアロダイナミクスを追求した整流効果によって前後のリフトバランスが改善されるなど、機能的なエアロパーツも少なくない。
外装編・GTウイング
一時期に比べるとあまり日の目を見なくなった感のあるGTウイング。しかしS660オーナーにとっては需要は高まるばかり。なぜならば似合いすぎるから。いろいろなデザインや大きさのものがデリバリーされているが、いまの流行りとしては堂々としかも大胆なGTウイングが好まれる傾向。メーカーサイドとしても、スーパーGTマシン風のスワンネックにするなどステーにまでこだわり、オーナーの所有欲を掻き立てている。
外装編・シザーズドア
S660では、シザーズドアやガルウイングと呼ばれる、垂直方向に開閉方式にするキットも販売されている。ランボルギーニのごとく、ドアを跳ね上げる姿はS660にもかなりシックリとくる。その姿には、何百台と集まるミーティングイベントのなかでも、同じS660オーナーから羨望の眼差しが集まることは間違いない。
外装編・エンジンダクト
フロントエンジンに比べリヤミッドシップエンジンが冷却的に不利なことは一般的にもよく知られているが、そのウイークポイントを補う意味でも装着率が高いのが、エアダクトを装備したエンジンフード。
フレッシュエアを導入するインダクションポッドを増設するものや、エンジンルーム内の熱気を逃がすアウトレットダクトを施したものなどが各エアロパーツメーカーからリリースされている。見た目のインパクトも得られるのでスーパーカーメイクには一石二鳥だ。
外装編・ハードトップ
純正の生地製ソフトロールトップからカーボンやFRP製のハードトップに交換するのも人気。高級感を与え、走行時の風切音なども低減することが可能だ。ただ、ロールトップであればドライブ先でも屋根を取り外してボンネット内のユーティリティーボックスに収納してオープンにすることができるが、ハードトップは車内に収納するスペースがないので、実質的にはオープンにできないことがデメリットにはなる。
そもそも「S660の屋根はほとんど開けない」というオーナーも多い。そして注目は、そのハードトップに仕込むことができるサンルーフ。もともとオープンカーであることを逆手にとった発想がある意味ムダであり贅沢で、とてもオモシロイ。
内装編・コクピット
モニターや計器類を追加して、航空機のようなまさに“コクピット“と呼ぶに相応しい車内にするのも、よく見られるインテリアのカスタム手法。もともとS660には2DINナビやモニターを設置するスペースがなく、オーナー独自でアイデアを絞り出して運転席まわりを自分好みに仕立てるのも自然な流れといえるかもしれない。
あとはシート。S660はミッドシップ2シーターなのでシートバックがリクライニングできる余裕は少ない。一般道の走行がメインであっても、思い切ってフルバケットシートに交換するオーナーが多いのも特徴だ。フルバケットシートは純正シートに比べて軽いので、運動性能の向上にも貢献する。
その他・カーボンメイク
ダッシュボードやスイッチパネル、ドアの内貼りなどのカーボン製パネルもアフターパーツとして徐々に揃い始めている。GTレーシングカーや高級スーパーカーのような雰囲気をS660の車内でも再現。インテリアパネルにはカーボン以外にもスウェード調の表皮を採用しているものもあり、ラグジュアリー方向のドレスアップにも人気が高まっている。