クリーンで便利な都市型モビリティをサポート
クルマを通じて「未来の世界」を垣間見せてくれた東京モーターショー2019。クルマが進化すれば当然ながらタイヤも進化。モーターショーの会場で見つけた画期的なコンセプトモデルや新技術、マネージメントシステムを紹介したい。
まずは斬新な形状も注目されたタイヤメーカー・グッドイヤーの『エアロ』から。未来に実用化されるであろう”空飛ぶクルマ”を想定し、これまでの地上を走るタイヤとしての機能と合わせて、空中ではプロペラの役割を果たす構造を採用。「マルチモーダルデザイン」と名付けた傾くローターがコンセプトで、走行時は普通のタイヤと同じ向きで駆動力を路面に伝え、傾かせれば車体を持ち上げる揚力の伝達装置の役割を果たす。
さらに磁気推進力を備えており地上では走行を補助、摩擦がほとんどない空中で車体を移動させる力となる。ほかにも光ファイバーで路面状況などをモニターする『オプティカルセンシング技術』を投入した、見ているだけでワクワクするコンセプトタイヤだ。さらにグッドイヤーでは”苔”(コケ)をサイドウォールに生息させ、路面から水分を吸収、循環させることで光合成を行ない、空気中に酸素を放出させるという『オキシジェン』を参考出品した。
耐久性、耐パンク性、修復性を大幅に向上
ブリヂストンはゴムと樹脂を分子レベルで結合させた世界初のポリマー、『SUSYM(サシム)』を使ったコンセプトタイヤが目玉だ。ゴムの柔軟性と樹脂の強さを両立した新素材で、昨年に発表した『High Strength Rubber』よりも耐突き刺し耐性/再生&修復性/低温耐衝撃性などを飛躍的に向上させたという。
ブースでは『SUSYM』の特性を活かした、ホイールと一体型のコンセプトタイヤを展示。今後はタイヤ以外への利用も拡大していくらしい。受電から駆動までの機能をすべて内蔵した『第3世代走行中ワイヤレス給電インホイールモータ』(写真下)、および月面での有人探査活動を実施するモビリティ『有人与圧ローバ』のタイヤといった最新テクノロジー満載のモデルを数多くPRした。
なお、月面用のタイヤは2000年代にJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同検討を実施し、2019年より正式に国際宇宙探査ミッションへの参画が決定している。
自動でタイヤ管理するセンサー内蔵
最後は『コンチケア』と名付けられた、コンチネンタルのタイヤ本体を含む管理システムを紹介したい。これはタイヤ内部にピストンとエアタンク(700kpa×2)を内蔵し、回転することでピストンがストロークして空気を蓄積(1回で2cc)、タイヤ内の空気が減ると自動で補填し適正な空気圧を維持する仕組みだ。
空気圧に加え磨耗を感知するセンサーも備えており、専用アプリケーションでタイヤのコンディションを複数台まとめてモニター可能。自動運転車などクルマが無人化する時代に向けた技術とのことだが、カーシェアリングなど現在でも役立つシーンは多いだろう。