半分のスペースと力で開閉できるデュアル式
日産・セレナも、そうした「巨大バックドアが開けられない問題」に対応するため、車体後方に、通常の約半分のスペースがあればバックドアから荷物を出し入れできる、ガラスハッチ部分だけ開けられるデュアルバックドアを採用。車体後方に必要なスペースは、バックドア全体を開くとすると、ハイウェイスターで985mm、標準車で1015mm必要なところ、ガラスハッチだけのハーフバックドアだけなら、それぞれ480mm、510mmで済むのである。
そうしたガラスハッチ式は、ステップワゴンのわくわくゲートのサブドアのように、真後ろ、または右側からしかアクセスできないのに対して(開けたドアにブロックされる)、どの方向からでも荷物を出し入れしやすいメリットがある。ただし、デュアルバックドアの開口部下端からラゲッジフロアまではそれなりの距離があるため、重い荷物、小さな荷物の出し入れは厳しい。デュアルバックドアの開閉は女性にも扱いやすく軽い力で行なえるのだが、その点ではステップワゴンのわくわくゲートのサブドアにはかなわないと言えるだろう。
観音開きならばペットにも有利
荷物の出し入れをより便利にしてくれるバックドアはなにもミニバンだけのものではない。BMW3シリーズのツーリング(ステーションワゴン)もバックドアのガラスハッチのみ開く機能があり、車体後方にスペースがない場合や、バックドアを開くまでもない大きさの荷物を出し入れする際に有効だ。ペットをラゲッジスペースに乗せるシーンでも、駐車中の換気、リフレッシュなどに有効なのである。
さらにルノー・カングーのバックドアもユニークで、左右に横開きする観音開きを採用(6ドア)。そもそもカングーは、ヨーロッパでは働くクルマなので花屋さんやケータリングサービス、ペットショップなどで重宝されている。車体後方にスペースがなくても開けられる機動性だけでなく、そーっと横開きすることができるため、バックドアを開けた際、荷物やペットがいきなり飛び出す心配もなくなるというわけだ。
実際、カングーは日本でもペットサービスの現場でも人気。片側のバックドアだけを少しずつ開けられ、人間がそのすき間をブロックできるため、ペットの飛び出しの心配が少ないそうだ。ちなみにBMWミニ クラブマンのバックドアも観音開きである(観音開きのバックドアは左右同時には開けません)。
SUVにもあったガラスハッチ式&横開き式
さて、SUVではトヨタ・ランドクルーザー(200系)も荷物の積み込みやすさにこだわった本格SUVと言える。バックドアはガラスハッチ部分のみでも電動で開閉でき、車体後方にスペースがなくても荷物の出し入れが可能。また、ジムニーは横開きバックドアを採用し、バックドア全面が開くため、全開にするとけっこうなスペースが必要になるものの、車体後方にスペースがなければ、少しだけ横開きする、という開け方が可能になるから使いやすい場面もあるはず。もっとも、アウトドアでバックドアをひさし代わりには使えない点がないわけではなかったりする。
結論として、ミディアムクラスのボックス型ミニバンを例に挙げると、バックドアからの荷物の出し入れでもっとも使いやすいのは、わくわくゲートのサブドアを持つステップワゴン(人や犬も乗降できる)。次にデュアルバックドア採用(小さく軽い荷物限定)のセレナとなるだろう。