エンジン始動時によくある失敗パターン
さぁ出発しよう! と思ったのに愛車のエンジンがかからない、といったトラブルを経験したことはあるだろう。きちんと整備しておけば、このようなケースは起き得ないと思うかもしれないが、ちょっとした操作ミスでエンジン始動しないこともある。ここではエンジンが始動しない原因から、よくある5つのパターンをピックアップして紹介しよう。
シフトポジションが”P”に入っていない
車両側には何の問題もないのにエンジンがかからないことはある。代表的なのがAT車でシフトポジションが「P(パーキング)」に入っていないケースだ。シフトポジションを”P”にしていないとセルモーターが回らないというのはオートマチック車では基本的な仕様だ。
よくあるパターンは、その場所に乗り付けてエンジンを切る際にシフトポジションを”P”に入れることを忘れてしまい、D(ドライブ)やR(リバース)に入れたままの状態で駐車したという時だろう(その状態でキーは抜けない)。再び乗りこんだ際にエンジンを始動しようとするが、”P”に入っていないのでキーを回しても、もしくはスタートスイッチを押してもセルモーターが動かずに、おおいに焦る。
解決方法は至極単純で、一息ついて落ち着いてからATをPに入れて、それからエンジンをかければいい。
ステアリングロックが解除できていない
スマートキーで起きがちなことは、ステアリングロックを解除できていないのに気付かず、エンジンスタートボタンを押してもうんともすんとも言わないために焦ってしまうケースだろう。
キーを挿すタイプであれば、キーが回れば自然にステアリングロックを解除できる。だが、スマートキーでステアリングを握ったままエンジンスタートボタンを押そうとしたときなどにロックが解除されずに、セルモーターが回らないという症状が起きることがある。
スマートキーのクルマではとっさにステアリングロック状態にあるとは分かりづらく、もしエンジンスタートボタンを押しても反応がないようなら、ステアリングが動くかどうか確認するといいだろう。ステアリングから手を離して、もう一度スタートボタンを押すと解除される(車種によって異なるケースもある)。
また、キーを挿すタイプでステアリングロックが解除されないときは、キー自体が回らない。そのようなケースでは、ハンドルを左右どちらかに動かしながらキーを回すと解除される。
ブレーキやクラッチペダルを踏んでいない
最近のクルマではペダル操作がエンジン始動の条件となっていることが多い。AT車であればブレーキペダル、MT車ならばクラッチペダルを踏んでいないとセルモーターが回らないのだ。踏み忘れでエンジンが始動しない場合は、踏み直せばいい。
また、センサーの劣化などによりペダルを踏んでいるのに車両側では踏んでいると認識できていないこともある。その場合は、深く踏み込んでやれば反応することもあるが、至急修理が必要だ。
スマートキーが認識できていない
スマートキーのバッテリーが弱ると、そもそもドアロックも解除できないが、ロックの解除で最後の電力を使い切ってしまったというレアケースでは、ドアは開いたが、スマートキーが検知できずにエンジンを始動できないという状況にもなり得る。
キーが見つからない場合は、メーター内などにその旨のコーションが出るか、キーをロストしたワーニングランプが点灯する。解決するにはスマートキーのバッテリー(ボタン電池)を替えることだ。ひとまずエンジンをかけなければならないのであれば、スマートキーをエンジンスタートボタンの近くに持っていくことで認識させ、始動させることができる。
車種やメーカーによっては、スマートキーを既定の場所にはめ込むというケースもあるので説明書などで事前に覚えておくと安心だろう。
また、多くのクルマではスマートキーのバッテリーが弱ってくるとコーションが出るようになっている。ギリギリまで引っ張らず、早めの電池交換がまずは吉だろう。
そもそもバッテリーがアガっている
ここまで、主に最近のクルマでのトラブルシューティングを記してきたが、そうした電気仕掛けのない旧車であってもエンジンが始動できないことはある。キーを回してもセルモーターが回らない原因のほとんどは、バッテリーがアガってしまっていることだ。
バッテリーが放電してしまい、セルモーターを回すための最低限の電圧を下回っている状態となっているというわけだ。この手のバッテリートラブルについては最近のクルマでは起きづらくなっているが、まったく起きないというわけではない。また、ハイブリッドカーや電気自動車といった電動車両でもシステムの起動には鉛バッテリーを使っているので、定期点検などでバッテリーのコンディションをチェック、必要に応じて充電や交換などのメンテナンスをしっかりしていきたい。とくに気温が下がってくるとバッテリーが弱るので、気を付けたいものだ。