この記事をまとめると
■濃色系はキズが目立ちやすい
■淡色系は水垢が目立ちやすい
■汚れや洗車キズが目立ちにくいシルバーがオススメ
水垢や洗車キズといった難敵が目立ちにくい色
クルマ選びの際、ボディカラーを選ぶ際も迷うだろう。もちろん、好きな色を選ぶのが正解だが(車種によって下取り、買取に有利な人気カラーを選ぶ方法もあるが)、もし、自宅の保管場所が屋外で、”汚れが目立たない”、”キズが目立ちにくい色”を選びたいというなら、それなりの選び方がある。
初めてクルマを所有する人に多いのが、「濃色のほうが汚れやキズが目立ちにくい」という勘違い。屋外駐車では、ボディに堆積(たいせき)する砂ボコリなどは色が薄いため、濃いボディカラーのほうがむしろ目につきやすく、白っぽい汚れが目立ってしまう。結果、多少のホコリが付いても、汚れた感が強まってしまうのだ。
キズに関しては、淡色のほうがキズに汚れが詰まり、黒っぽく見えてしまうケースはあるものの、洗車キズやスリキズは、むしろ濃色系のほうが目立ちやすい。実際、新車に試乗したとき、屋内保管でまだ数百キロしか走っていないにもかかわらず、撮影しようとすると細かな洗車キズがギラギラするのは、濃色のボディカラーなのだ。もし、そのクルマが大型ミニバンのようなボディ面積の大きなクルマだと、磨くのも大変。磨きに出したとしても、料金は割り増しである。
しかも、屋外駐車でボディに雨や洗車後の水道水が残ったままにしておくのはタブー。ボディに乗ったままの水滴に直射日光が当たると、水滴がレンズ効果を生み出し、塗装を焼いてしまうリング状のウオータースポットが残る。それが白っぽいシミなので、濃いボディカラーではひときわ目立ってしまうのだ。
ちなみに、濃色のボディカラーとは、アルファード&ヴェルファイアで言えば、高級感もあるブラックはもちろん、グラファイトメタリックやダークマイカメタリックなど(新車の試乗会では洗車キズでギラギラしていて写真が撮りにくかった)。
淡色系は水垢が目立ちやすい弱点も
ならば、淡色、白いボディカラーだとどうかと言えば、確かにホコリ汚れは目立ちにくい。ウオータースポットのシミも同様だ。が、淡色のボディカラーには、水垢(みずあか)という大敵がいる。ドアミラーやドアアウターハンドルの内部の汚れが雨水とともに流れ落ち、そこに紫外線が当たることで黒っぽい線上のシミ=水垢が付着。放置しておくとガンコなシミになってしまう。こちらは濃色のボディカラーだと目立ちにくいが、淡色、特にホワイトだと目立ちまくる。長らく屋外駐車すると、天井がべったりと水垢汚れになっている例もある。
よって、屋外駐車の場合は淡色系カラーも注意が必要。塗装は系年変化で少しずつ退色していくため、白のボディカラーでもオーナーは「白いまま」だと思いがちだが、新車の白と比べてみると一目瞭然。黄色っぽくなっていたりするのである。同色のタッチアップペイントを使った時、色がまったく合わないのは、そのためだ。
結論、オススメのボディカラーはシルバー系
では、濃色も淡色も、特に屋外駐車では手入れが大変となると、いったいどんな色がオススメなのだろう。答えはズバリ、筆者が今乗っている愛車のボディカラーでもある、シルバー系メタリックである(下写真は実車と異なります)。
濃色系と違い、絶妙にホコリ汚れや洗車キズが目立ちにくく(ホコリと色が似ている )、水垢の目立ち加減に関しては、濃色系よりは目立ちやすいものの、白よりは確実に無難。つまり、屋外駐車で、あまり洗車をしない人、逆に洗車をマメにする(ボディに触れる機会が多いほど、微細な磨きキズが付く)人にとっても、手入れの簡単さで最適という結論に至ったのである。
愛車のボディカラーは薄めのシルバーメタリックで、新車時に自分でガラスコーティングを入念に施工。実際、屋外駐車で新車からすでに5年が経過しているが、最小限の手洗い洗車(これが重要)だけで、今でもピカピカのままだ。
つや消しカラーの繊細なメンテナンスが必要
ところで、最近になって高級車、特にスポーツカーで流行っているのが「マットカラー」。つや消し塗装ならではの迫力、個性が人気のようだが、手入れはなかなか大変だ。つや消し塗装は、普通の塗装と違い、表面が凸凹していることで光の反射が低減し、マットな色合いを出している。そのおかげでホコリが堆積しやすい。ワックスやコーティングがけができないため(ワックスなどを塗るとつやが出てしまう)、さらに汚れが乗りやすく、汚れたら大量の水で洗うしか方法がないのである。
その際も、スポンジなどで強くこすりすぎると表面の凹凸が少なくなり艶がでてしまい、繊細な手入れが必要になるのだから、やっかい。どうしてもマットカラーのクルマに乗りたい、しかし手入れに気を使いたくない、というなら、ラッピングでマットカラーにするのが正解。手入れに困ってどうしようもなくなったら、ラッピングをはがし、元に戻せばいいのである。
筆者プロフィール:青山尚暉
クルマの所有歴45年、異なるボディカラー25台以上を乗り続けてきた自動車評論家。80年代の洗車ブームをけん引し、洗車本の著書も多く、洗車関連のTV、ラジオ出演、講演経験もある