第1〜3ステージ完全制覇で有終の美を飾る
アメリカでもっとも人気のある自動車レース「NASCAR（ナスカー）」の３大シリーズの一つであるピックアップトラックで競われる「NASCAR Gander OutdoorsTruck」シリーズ（トラック・シリーズ）、2月15日（金）にデイトナでスタートした2019シーズンは、この11月15日（金）に開催された第23戦「Ford EcoBoost 200」は、フロリダ・マイアミのホームステッド・マイアミ・スピードウェイで最終戦となった。日本人オーナー服部茂章氏が率いる「Hattori Racing Enterprises（HRE）」は、完璧なレース運びをした結果、今シーズン4勝目を獲得した。
HREは、ドライバーを昨年のブレット・モフィット選手から、オースティン・ヒル選手にスイッチし、昨年に続きオーナータイトル連覇を目指していた。しかし、プレイオフ制を導入しているこのシリーズで、第2ラウンドまで進出したが敗退。残念ながらファイナルラウンド「チャンピオンシップ4」に残ることはできなかった。
しかし、チームは今シーズンを最高の形で締めくくるべく、最終戦に参戦したのである。今回は「千葉トヨペット」および「トヨタ部品千葉共販」の支援を受けた16号車「CHIBA TOYOPET TOYOTA TUNDRA」で参戦。このカラーリングは、開幕戦となったデイトナでヒル選手が初優勝した時と同じカラーリングだ。
第23戦「Ford EcoBoost 200」の舞台は、フロリダにあるホームステッド・マイアミ・スピードウェイ。このサーキットは、全長1.5マイル（約2.4km）のオーバルコースで、ターン1-2とターン3-4が同じペーパークリップ型だ。今回の第23戦では、第1ステージ30周、第2ステージ30周、最終ステージ74周の計134周で競うこととなる。
この日のマイアミ周辺は悪天候に見舞われており、レースデー午前中の2回の練習走行は無事に行われたものの、午後4時からの予選はキャンセルに。決勝スターティンググリッドはオーナーポイント順で決定され、16号車は5番グリッドからレースをスタートさせることとなった。
決勝も悪天候により、当初の予定から1時間半遅れの午後9時半過ぎにレース開始。スタート直後の混乱に巻き込まれ一旦は11番手まで順位を下げた16号車だったが、7周目には8番手までポジションを戻し、さらにポジションを上げていきトップに立つと、そのまま第1ステージのチェッカーを真っ先に受けた。その後のステージコーションで、チームは16号車のタイヤ4本交換。給油、マシン調整を行ってコースに戻し、ヒル選手は6番手から第2ステージを戦うこととなる。
この第2ステージでも16号車は好調で、44周目には再びトップに返り咲き、終始安定した走りでここでもトップフィニッシュとなった。68周目にスタートした最終ステージも、4番手からスタートのヒル選手は圧巻のスピードで周回を重ね、85周目にはまたしてもトップに躍り出る。
レースは後半、イエローが出ないまま、90周を過ぎた辺りからグリーンフラッグ下で各車最後のピットストップが始まり、16号車も99周目にピットストップを行い3番手でレースに復帰。ヒル選手は最後の争いも最速ラップを更新しながらアタックし、112周目にトップに立つとレースをリード。2位以下にいたシリーズチャンピオンを目指すプレイオフドライバーたちを大きく引き離し、完全勝利でチェッカーを受け、ヒル選手と16号車は今シーズン4勝目を獲得した。
この勝利によって、トヨタは2004年の参戦以来11回目のマニュファクチャラーズタイトルを獲得。オースティン・ヒル選手とHattori Racing Enterprisesはともにランキング5位を獲得した。トラック・シリーズのドライバーズタイトルは、マット・クラフトン選手（88号車 ThorSport Racing）が獲得。そして51号車Kyle Busch Motorsports（クリスチャン・イクス選手他）がオーナータイトルを獲得した。
これで2019 NASCAR Gander Outdoors Truckシリーズは終了。2020年のHREは、今季GRスープラでスポット参戦したXfinityシリーズと、トラック・シリーズのナスカーの2シリーズへフル参戦するという。HREの服部茂章オーナーは「来季はトラック・シリーズのチャンピオン獲得とXfinityシリーズでの優勝を目指して精進を続けて参りますので、引き続きの応援とご協力をよろしくお願い申し上げます」とコメントしている。
