大型トラック2台分の輸送量で人手不足解消へ
国土交通省は、1台で大型トラック2台分の荷物を運べる「ダブル連結トラック」の主な通行経路として、新東名高速道路の一部区間に導入していましたが、2019年8月には東北から九州まで拡充したと発表。これまでの新東名・海老名JCT~豊田東JCTにくわえて、東北自動車道(北上江釣子ICまで)、圏央道、東名高速道路、新名神高速道路、名神高速道路、山陽自動車道、九州自動車道(太宰府ICまで)へと大きく拡充されました。
現在、大手物流4社が「ダブル連結トラック」を使って関東〜関西の区間で共同輸送をしています。ドライバー不足が深刻化するなか、企業の枠組みを超えて幹線輸送で各社が連携。1回あたりの輸送量を増やして効率化し、環境への負荷も軽減しています。
その4社というのは、西濃運輸、日本通運、日本郵便輸送、ヤマト運輸。新東名高速道路を中心としたルートを運行(月~金曜、1日6便)し、大阪府と神奈川県にあるヤマトHDの物流拠点でトラックとトレーラーの連結や切り離しを行なっています。
気になるダブル連結トラックの全長サイズですが、一般的に大型トラックは12メートル、セミトレーラーだと15.9メートル、新しく導入されたダブル連結トラックはなんと25メートル。従来のダブル連結トラック(21m)よりもさらに長いので、その迫力は言うまでもなく、運転には大型自動車免許取得から5年以上たっていることのほか、連結トラックの教習受講が必要になるそうです。また、車両の技術要件としてアンチロックブレーキシステム、車線逸脱警報装置、ETC2.0装着が必須です。
車体はいすゞ自動車と日本トレクスとの共同開発で、最大積載量は24トン積載可能(セミトレーラーより2.1トン多い)。1度にトラック2台分を輸送できるので、ドライバー不足に対応するとともに、輸送の効率化に結びつけることができます。また、CO2排出量を約4割削減できるのも特筆すべきでしょう。
さて、ダブル連結トラックの導入について国土交通省によると、背景には50歳以上が約4割を占めるというトラックドライバーの高齢化。そして、インターネット通販の拡大に伴うラストワンマイルの輸送、幹線輸送でのドライバー不足という問題を踏まえ、長距離輸送で必要なダブル連結トラックの普及を目指し、人手不足に対応していきたいという考えです。
今のところ、走るエリアは限定的で高速道路がメインです。また、混雑する時間帯を避けて深夜や早朝に走ることがほとんどなので、ダブル連結トラックを目にする機会は多くありませんが、実際に遭遇すると車体の全長サイズに驚くかもしれません。
遭遇しても、珍しいからと言って側に居続けると煽るようにも見えますし、だからと言って25メートルの全長の長さを考えずに無理な追い越しも禁物です。2台以上が連なっていることも考えられます。ちなみにダブル連結トラックの後部には、注意を促すステッカーが張ってあることを覚えておくといいでしょう。