人に寄り添う未来のテクノロジーたち
ステアリングやペダルの操作があらゆる場所・条件下で不要になる「レベル5自動運転」。このような完全自動運転が実現すると、シートアレンジやデザインの自由度が格段に向上し、移動中の車内での過ごし方も大きく変わることが予想されている。
では実際に、どのようにクルマのインテリアは、そして車内での過ごし方は変わるのだろうか。第46回東京モーターショー2019で、部品メーカー各社が出品していたコンセプトモデルから、その方向性を探っていきたい。
用途にあわせてフレキシブルに使える
「トヨタ車体」が出品した、2030年のミニバンを想定した『PMCVコンセプト』は、完全自動運転とマニュアル運転の両モードに対応しながら、車体前方へ格納できる1列目は前後回転を可能に。また、車体右側への格納できる2列目はそのまま展開し縦方向に配置するのに加え、通常のミニバンのように1列目および3列目と平行に配置することも可能としている。3列目は車体後方より展開・格納できる仕組みだ。
これにより、0〜7シーターまで全8種類ものシートアレンジを実現。自転車やサーフボードなどの長尺物を積み込んだり、7人がラウンジのように座ってリラックスした状態で会話しながら移動することもできる、まさに貨客両用の万能ミニバンといえるだろう。
パナソニックが考える”走るリビングルーム”
MEGA WEBで展開された主催者プログラム”FUTURE EXPO”内に「パナソニック」が持ち込んだのは『SPACe_L』というコンセプトモデル。完全自動運転車の普及が想定される2030年における移動時間・空間の過ごし方を提案していた。
具体的に言えば、各シートにはエアコンを内蔵しており、乗員がもたれかかるとサーモセンサーが検知した各部の体温に応じて自動的に風量や暖かさ・冷たさを調節。また、サンルーフを含めた各ウィンドウには有機ELの調光ディスプレイが採用され、フリック操作に応じてサンシェードとして使用できるようになっている。
さらに、車載AI「ソフィア」を介したオンラインショッピングや、可動型ディスプレイを用いた会議を行なうことも可能。そして、有機ELディスプレイと22個のスピーカーによる、コンサートホールさながらのクラシックコンサート演奏を堪能できるのも「SPACe_L」ならではの楽しみ方と言えるだろう。