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こんなモータースポーツを待っていた! 普段着で楽しむ『オートテスト』の魅力

ショッピングモールの駐車場で開催

 人里から離れたサーキットで、慣れないヘルメットを身に付け、カスタムされた車両で走る。昔に比べてずいぶんと敷居が低くなったとはいえ、モータースポーツに対するハードルは依然として高い。そんな概念を打ち崩す新しいカテゴリー、「オートテスト」とはいったい何だろう。

 レースが好きだったり自らサーキットを走る人でも、オートテストという言葉は馴染みがないかもしれない。日本で始まったのは数年前と新しいモータースポーツだが、イギリスでは50年以上も続く歴史ある大会が開催されたり、気軽に参加できるカテゴリーとして人気のイベントだ。最大の魅力は特別な装備がいらないこと。レーシングスーツやヘルメットは不要だし半ソデでの参加もOK。車両もフルノーマルで普段の通勤や買い物に使っているファミリーカーで参加できる。

 内容はパイロンで区切られたコースを設定し、そこを決められたルートでいかに速くゴールできるかを競うというもの。ただし、コースにはバックで走る区間や縦列駐車のようなセクションもあり、スピードだけじゃなく運転の正確さも欠かすことができない。安全な速度域であり、1台ずつ走るため他車と接触する可能性がない、というのもビギナーにとっては大きな安心材料だろう。

 というワケで現場の雰囲気を確かめるべく、宮城県のイオンモール利府・特設コースで開催された、奥州VICICによる『第2回 オートテストチャレンジ in 利府』に足を運んだ。まず、驚いたのは会場となったのはショッピングモールの駐車場というのが斬新。家族や友人を助手席に乗せて走るのも認められているし、走っている間に買い物や映画を楽しめるのもオートテストのスタイルのひとつなのだ。

 奥州VICICはレースを主催する経験豊富なJAF加盟クラブで、モータースポーツの振興を掲げる利府町がバックアップ。参加費も一般が3000円(利府町民2000円/体験1000円/当日参加3500円)と、主催者によって差はあれど他のカテゴリーに比べて圧倒的にリーズナブルのも魅力といえる。また、会場では東北大学が製作した電気自動車や、現役ラリーマシンの展示や同乗走行を実施。クラスは初心者とモータースポーツの経験者、さらにマニュアルとオートマで細分化され、各クラスの上位入賞者には賞状や利府町の名産品などが贈呈された。

「決して認知度は高くないものの、エントリーは着実に増えています。来年も東北の各地で開催するので気軽にご参加ください」と、奥州VICICを率いる小野守平サン。スケジュールが決まりしだいウェブサイトに公開とのこと。なお、オートテストは東北のみならず全国各地で行なわれており、車両感覚や運転の正確さといった安全に直結するスキルを磨けるうえ、参加するとJAFが発給するB級ライセンスも取得できるため、本格的なモータースポーツを始めたい人にもピッタリだ。これまでモータースポーツへ初めの一歩を踏み出せなかった人、是非オートテストでその魅力の一端に触れてみてはいかがだろうか。

 

「第2回 オートテストチャレンジ in 利府」イベントレポート

 利府町の熊谷大町長(左)はモータースポーツの振興に力を入れ、来年はラリー競技が町内で開催される予定とか。イベントを運営するのは奥州VICICの小野会長(右)だ。

 オートテストでは必ずバックギヤを使う区間が必要。それも既存のモータースポーツにはない部分だ。今回はバックする長さが過去でイチバンだったとか。また、ショッピングモールの駐車場を使うことから、タイヤ痕やスキール音を消すため定期的に水を撒いている。

 昼休みには現役ラリードライバーによる同乗走行。コースの都合上スピードはそれほど出すことができないけど、ロールケージが組まれた本物のマシンに参加者も大興奮だった。

 そして地元の東北大学による出展も。市販車を改造したモデルからフォーミュラカー、ミニカーに自転車まで何台もの電気自動車を持ち込み、昼休みにはコースを使い試乗も行なわれた。

各々が楽しんだオートテストな1日

 もちろん日本のモータスポーツを統括するJAFもブースを出展。家族に向けたサービスだけじゃなく、B級ライセンス取得に関する相談会も実施されていた。

 受け付けが終わるとコースを開放。まずは自分の足で歩いて進行方向やパイロンの位置を確認する。バック区間は歩くのも後ろ向き。そして車種は軽自動車/ミニバン/セダン/軽トラックと何でもOK。絶対的なスピードが低いのでパワーの多寡があまり影響せず、イコールコンディションに近いにも楽しい要因だ。

 なお、開会式では1日のスケジュールや注意点、競技中に使用するフラッグの意味などを丁寧に説明。表彰はクラスごとに行なわれ、利府町の名産品である梨や米も副賞で渡された。プレゼンターはデモランで会場を沸かせた熊谷町長。

 参加メンバーのひとり、利府町民の割引を利用して初めて参加したという高橋ひかるサン。父親の影響で昔からスポーツカーが大好き、今回も家族みんなで会場を訪れた。フルノーマルの愛車86で未経験とは思えないハンドルさばきを披露し、見事にクラス入賞を果たす。

 また、先輩からの勧めでオートテストに初参加。普段はラリーのコ・ドライバーとしてモータースポーツを楽しんでいるという高橋誠サンは、今まで経験のないカテゴリーなので、タイムを詰めるポイントに悩んだとのこと。戸惑いもあったけライセンス不要、ノーマル車でOKというのは斬新と話してくれた。

 

 

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