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欧米ほど普及しない本格的キャンピングカー、日本で所有するための意外な方法とは

キャンピングカー保有台数が11万台を突破! でも……

 キャンピングカーのビルダーやディーラーが加盟する団体「日本RV協会」によると、日本国内のキャンピングカー保有台数はここ数年右肩上がりで、2018年には11万台を突破。数字でもキャンピングカー人気が続いていることがよくわかります。

 とはいうものの、保有台数950万台を超えるアメリカを始め、550万台のヨーロッパ、100万台のカナダなどの欧米諸国に比べると、その差は一目瞭然。どうしてこれだけ大きな差がついてしまうのでしょう? その理由を考えてみました。

本格的なキャンピングカーとは?

 キャンピングカー普及の話をする前に、キャンピングカーがどんなものかよく知らない人のために、基本的な説明をしておきましょう。

 ここでお話しするキャンピングカーとは、簡易的なベッドやカセットコンロなどを積んだだけのクルマではなく、旅を快適に楽しむための装備を載せた本格的なキャンピングカーです。

 車内で食事やくつろぐためのダイニング・スペースがベッドに早変わりするダイネット、コンロや水道、冷蔵庫を備えたキッチン、さらにテレビやトイレなどを装備したモデルもあります。エンジン停止時も車内を暖房できるFFヒーターや高断熱ボディを装備したキャンピングカーならば、冬のキャンプでも快適に過ごせます。

 こんなに便利で魅力的なキャンピングカーですが、日本では街中はもちろん、キャンプ場でも欧米ほど多くは見かけません。どうしてでしょうか?

 

日本の住宅事情や道路の広さが障壁

 大きな問題のひとつに、日本の住宅事情が挙げられます。欧米と違って家の敷地が狭い日本では、駐車スペースに大きなキャンピングカーを簡単に止めることができません。

 国産キャンピングカーは、普通の駐車場にも止められる2×5mサイズに収まるよう設計されているタイプが一般的。それでも、例えばルーフにバンクベッド(就寝できるスペース)などを装備していると、立体駐車場などでは高さが合わないことも。買い物では、屋根なしの駐車場がないと停められないケースも考えられます。

 また、自宅駐車場前の道が狭くて出し入れが不便など、様々な理由で所有の障害になることがあります。

 加えて、仮に駐車場に入れることが可能であっても、キャンピングカーだと大きすぎて日常生活では使いにくく、普段使いのクルマとの2台持ちを考えなければならないこともあります。

 ほかにも、観光地では周辺の道が狭かったり、キャンピングカーを止められる駐車場が少なかったりすること、キャンピングカー専用設備が整ったキャンプ場が少ないことなども、日本での普及を妨げている要因になっているのではないかと思います。

欧米は住宅環境やライフスタイルが違う

 一方、アメリカやオーストラリアなどは自宅の敷地が広く、バスのように大きいキャンピングカーでも止められる家が多いこと、高速道路を含めて道が広いこと、観光地にもキャンピングカーのための公共駐車場が多いことなど、キャンピングカーを所有していても、あまり不自由を感じません。

 また、中古であれば大型キャンピングカーでも比較的安価で購入が可能。キャンプ場にも、フルフックアップといって、車両に常時接続できる電源や水道、汚水、汚物の排水、TVアンテナなどがあるキャンピングカー専用キャンプ場が多くあります。

 こういったキャンピングカーに関する環境がよく整備されている点が、欧米で広く普及している要因のひとつだといえるでしょう。

 

モータープールやレンタカーを利用する

 では、日本では欧米並みにキャンピングカーで楽しむことはできないのかといえば、そんなことはありません。

 家の駐車スペースがさほど広くなく、キャンピングカーと普通車の2台持ちも難しい。そんな場合は、例えばミニバンベースのポップアップルーフ仕様であれば、街乗りもキャンプも両立できます。

 居住空間がもっと広い、大型のモデルに乗りたいというのであれば「モータープール制度」の利用がオススメ。通常、クルマを購入する際は、自宅から2km圏内に駐車場がないと車庫証明を取得できないのはご存知の通り。ですが、大型キャンピングカーとなれば自宅周辺に停められる駐車場がないことも多く、購入を諦める人も多いようです。

 こういった問題を解決するために、主にキャンピングカー専門ビルダーやショップなどが、車両を購入したユーザー向けサービスとして行っているのがモータープール制度。キャンピングカー専用駐車場を、月極などの契約で借りて駐車しておけるシステムです。

 これは、車庫法の規定で「全長5.7mもしくは全幅1.9m以上」のキャンピングカーなどに限り、一定条件を満たした保管施設であれば、そこが自宅から2km以上離れていても、車両保管をその施設の運営者に委託できるという特例措置を利用したものです。

 つまり、モータープール(保管施設)が法的要件を満たしていて、運営するショップやビルダーに自分のキャンピングカーの保管を委託する形を取ることで、自宅から遠い場所でもキャンピングカーを駐車することが認められるのです。

 キャンピングカーのサイズには制限はありますが、この制度を利用すれば、日常は普通車に乗り、キャンプに行くときだけキャンピングカーに乗るということが可能に。また、専門ショップなどが運営しているため、防犯対策や車両の管理もしっかりとしているし、メンテナンスが受けやすいというメリットもあります。これからキャンピングカーを購入する方でこういったシステムに興味があれば、ぜひ一度ショップなどへ確認してみて下さい。

 ほかにも、最近増えているキャンピングカーのレンタカーを利用するという方法もあり。借りるタイプや大きさ、期間などによって料金は様々ですが、年に数回しかキャンピングカーを使わない方であれば、所有するよりも断然オトクといえるでしょう。

 欧米のようなダイナミックなキャンピングカーライフを送るのは、狭い日本では少々難しいかもしれません。ですが、今回紹介したような方法を活用することで、欧米並みとはいかなくても、今よりずっとキャンピングカーを身近に感じられ、気軽に楽しめるようになると思います。

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