イタフラ系と同規模ならばペイできる?
これも半期分の数値なので、2倍にすれば年間の規模感が見えてくる。ドイツ御三家が突出しているのはご存知の通りだが、PSA(プジョー・シトロエン・DS)の合計で約1.6万台、ボルボが約1.8万台、FCA(ジープ・フィアットほか)の合計で約2.7万台といった具合だ。
いずれも台当たりの単価でいえば、インフィニティやアキュラと大きくかけ離れてはいないレベルであろうことを考えると、1.5~2.0万台の年間販売が見込めるのであればビジネスとして成立する可能性はありそうだ。
とはいえ、今回はトヨタとレクサスの販売台数という条件から約5%という比率を仮説として導き出したが、あくまで数字遊びであって市場調査をした結果ではない。アキュラ・ブランドのフラッグシップセダンである「RLX」の日本版「レジェンド」の年間販売が500台にも満たないレベルであることを考えると、いくら人気のクロスオーバーSUVをプラスしたからといって、先ほど計算した年間1.9万台という数字が甘い見込みであることは明確だ。さらに言えばレクサスが国産高級ブランドへの期待値を高めている中で、同等のクオリティを製品だけでなく、販売スタイルに盛り込むのは難易度が高い。
ここ数年の動きを思い返せば、日産もホンダも日本市場においては高級ブランドの導入とは真反対の、軽自動車のセールス増に力を入れることで生き残ろうとしている。軽自動車という売れ筋を用意するというのは、エントリーユーザーをキャッチするという戦略ともいえる。そうした明確な意思があるわけで、高級ブランドを導入すると考えづらいのも事実だ。