サーキット走行に特化した仕様での挑戦
ルノーの新型「メガーヌ ルノー・スポール トロフィーR」が、三重県・鈴鹿サーキットで量産FF車では類を見ない2分25秒454(テスト/開発ドライバーのロラン・ウルゴン)を記録。先代モデルが記録したラップタイムから3秒以上も短縮し、すでにラップタイムの更新に成功した、ドイツ・ニュルブルクリンクのノルドシュライフ、ベルギーのスパ・フランコルシャンのふたつの有名なサーキットに続き、鈴鹿サーキットは3つ目の更新となった。
新型「メガーヌ ルノー・スポール(以下R.S.)トロフィーR」は、世界で500台限定で販売される特別モデル。標準モデルのメガーヌR.S.トロフィーと同じ300馬力を発揮するエンジンを搭載する。
しかし、リアはシートレスの2シーター化にするなど、レーシングカーのような軽量化を行なったことで約130kgものダイエットを実現。
さらに空力性能の向上、シャーシの大幅な改造のほか、アクラポヴィッチのエキゾーストシステム、ブレンボのブレーキ、 ブリヂストンのタイヤ、オーリンズのショックアブソーバ、サベルトのバケットシートなどを採用し、サーキットをメインステージと捉えるような仕様とした。
なお、日本国内では来年1月に正式発表され、順次納車する予定。
じつは、ルノーのR.S.シリーズにとって日本は、時としてトップセールスをするほど重要な市場。従来モデルまでは、ヨーロッパのみで開発を行なっていたが、本モデルでは日本市場を意識して鈴鹿サーキットでもテストを実施。アドバイザーとしてS-GTドライバーの谷口信輝選手が参加し、今年2月から走り込みを行なっていたそうだ。
メガーヌR.Sによるラップタイム記録への挑戦は、2008年にニュルブルクリンクサーキットで量産FF車のカテゴリーで「メガーヌR.S.R26.R」が8分17秒を記録して以来、10年以上続いている。
この記録は、3年後の2011年に、テスト/開発ドライバーのロラン・ウルゴンがドライブする2代目の「メガーヌR.S.トロフィー」が8分7秒97で更新。2014年には、3代目「メガーヌR.S.トロフィーR」(写真は日本の筑波サーキット)で、初めて8分を切る7分54秒36を記録した。
すわずか1秒のラップタイムを削ることも難しくなっているレベルだが、ロラン・ウルゴンは新型「メガーヌR.S.トロフィーR」で、全長20.600kmのノルドシュライフサーキットで7分40秒100を達成(サーキット公式全長20.832㎞では7分45秒389)。続けてスパ・フランコルシャンサーキットでは、2分48秒338という最速タイムを記録している。 そして、今回の鈴鹿サーキットでは、2分25秒454と先代モデルより3秒以上もラップタイム更新。日本でも開発を行なった結果かもしれないが、クルマの進化幅の大きさには驚かされる。