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ウインドウコーティング剤の基礎知識「撥水」「滑水」「親水」の違いと施工する場所は?

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: カーメイト、Auto Messe Web

パートごとに特性に応じたコーティングを

 ひと言に『ウインドウコーティング』といっても、市場に流通しているアイテムは数え切れないほど多い。商品のパッケージには”撥水”や”滑水”、”親水”など様々なタイプがあるものの、いったい何が違うのか、また、場所によって使う製品は変えるべきなのか。各種ケミカル用品をリリースする「カーメイト」に聞いてみた。

 自動車のケミカルとしては超が付くほどメジャーながら、意外に知らないことも多いウインドウコーティング剤。カー用品店に行けば大量のアイテムが目に入り、どれを選べばいいか悩む人も多いだろう。

 謳い文句も昔からよく聞く撥水のほか、滑水や親水なんて馴染みのない言葉もある。それぞれの特性や塗るべき場所を大手カー用品メーカー『カーメイト』の前田さんに教えていただいた。

 ウインドウコーティング剤の主流は「撥水」タイプで、市場の7〜8割を占めているという。この撥水タイプは、ガラスに塗布することで雨を始めとする水分を球状にし、走行風により弾き飛ばすという特性を持つ。つまり、効果が大きいのは風をダイレクトに受けるフロントウインドウで、サイドやリヤだと水玉が飛びにくく、逆に視界を悪くすることもあるそうだ。撥水する目安の時速(スピード)は50~60kmで、高速道路ならワイパーをほとんど使わずに効果を体感できる。

 次に撥水のひとつでありながら、少し性質が異なるのが「滑水」タイプ。水が自重で滑りやすくなる特性を持ち、撥水ではあまり効果の得られない時速20~30kmの低速域でも付着した水がとどまらずに滑り落ち、それ以上の速度になると撥水タイプ本来の効果を発揮するとか。

 使い方は、雨が降った際にスプレーしてワイパーを作動するだけと簡単だが、持続性は劣るため、手軽に視界確保したいドライバーにオススメとのことだ。

 撥水剤には主にシリコン系とフッ素系がある。シリコン系は約2カ月ほど効果を持続し効きは強めのため、頻繁にメンテナンスする人にオススメ。一方のフッ素系は効き目こそやや弱めだが、耐候性が高く1年ほど効果が持続するのが特徴だ。なお、フッ素系はコーティング前の下地処理が難しく、それなりの技術と経験を必要とするらしい。

 また、ドアミラーには「超撥水」と呼ばれるタイプが向いているという。通常の撥水は風が当たらないと水滴を飛ばせないが、超撥水は表面が尖った皮膜を形成するため、風が吹いていなくても水が付着しないのが特筆すべきポイント。タオルや指で触れると皮膜が剥がれる弱点があるため、ワイパーを使うフロントや窓を開閉するサイドには向かないものの、触る機会が圧倒的に少ないミラーなら十分に実用的だ。

 それと組み合わせたいのは、サイドガラスに塗る親水のコーティング剤。親水とはガラスに付着した水が膜を形成し、水滴にならないことで視界を確保するという特性を持つ。超撥水でドアミラーに水が付かなくても、サイドガラスが水玉だらけでは意味がない。耐久性も約3カ月(商品によって異なる)とそれなりに長く、リヤガラスやドラレコのリヤカメラのレンズにも有効だ。この親水タイプはボディのコーティング剤にも使われるケースがあり、洗車後の拭き上げが不要だったり汚れが残りにくいなどのメリットがある。

 まとめるとカーメイトでのオススメは、フロントウインドウには「撥水」、もしくは「滑水」のスプレータイプ。ドアミラーは「超撥水」、サイドガラスやリヤウインドウは「親水」と使い分けるのがベターだろう。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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