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再生可能な新素材で軽量化したレース仕様の日産リーフが登場【エコプロ2019】

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TEXT: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)  PHOTO: 青山義明

大王製紙のエコ素材の使用で戦闘力アップ

 今回で21回目を数える「エコプロ2019」が、2019年12月5日(木)~7日(土)、東京ビッグサイト西ホールで開催された。地球環境問題の解決に向けての取り組み、サスティナブル(持続可能)な社会の実現を提案するこの展示会にはSDGsや海洋プラスチックゴミの環境問題をテーマにした展示が多く見られた。

 大王製紙のブースには、アメリカの公道レース「第97回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(パイクスピーク)」に参戦したSAMURAI SPEEDの日産リーフe+(#230 2019年式日産リーフ/奴田原文雄選手)が展示された。 

 エコプロ展の一角に設けられた「第4回ナノセルロース展」というコーナーに大王製紙のブースは位置している。この企画展は、再生可能な新素材として注目され、さまざまな用途開発・製品化が進んでいるナノセルロースにスポットを当てたもので、建築材料、音響機器、日用品、化粧品、食品に至るまで、さまざまな商品が展示されていた。展示されたリーフは、一見ノーマルのように見えるが、実は参戦にあたり、ナノセルロースを使用した材料にボディパーツを置換しているのだ。

 2年連続でパイクスピークに電気自動車リーフで参戦しているSAMURAI SPEEDは、2019年の参戦にあたり、前年の30kWリーフから60kWリーフに車両を変更。リーフのパワーユニットには手を加えることができないため、出力向上ではなく、大王製紙に協力を求め、大幅なボディ軽量化で大きくタイムを短縮しようと考えたわけだ。

 そして使用したのが、大王製紙が開発をしているセルロースナノファイバー(CNF)の「ELLEX(エレックス)」シリーズの成形体である「ELLEX-M」である。「ELLEX-M」はCNFとパルプ繊維を複合化したもので、軽量かつ高強度で、その性能は汎用プラスチック材料を大きく上回る力学物性を持ち、熱特性にも優れているという。

 リアドアはELLEX-Mを使用したものに換装(47%軽量化)。ほかにもリアスポイラー(50%軽量化)、ボンネット(58%軽量化)にも使用しており、車両全体では12.6㎏の軽量化を実現している。

 ちなみにパイクスピークは、アメリカ・コロラド州にある標高4302mを誇る山を舞台に1916年から毎年開催されているヒルクライムレース。スタート地点の標高が2862m、そして頂上の標高4302mのゴール地点まで、156のコーナーがある全長20kmの区間を一台ずつアタックし、だれが一番速く駆け上がるかを競うもの。ゴール付近では酸素が薄くエンジン出力が約30%低下するといわれている内燃機関車両と違って、電気自動車は出力低下が見られないのが特徴。ただ、好タイムを狙うには、バッテリー重量を考えると少しでも軽量化したいところなのだ。

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