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世界でたった2台? 映画「007」のボンドカー『トヨタ 2000GTロードスター』が富士に降臨

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田了、Auto Messe Web編集部

フルレストアで蘇った個体も同時展示

 柔らかな日射しに恵まれた12月15日、富士スピードウェイでは「TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL(TGRF)2019」が開催。先週にはNISMO FESTIVALがあり、富士では2週連続の自動車メーカーによるモータースポーツ感謝祭が行なわれました。

 2019年シリーズのトヨタは、ル・マン24H優勝の世界耐久選手権(WEC)やSUPER GT、スーパーフォーミュラで好成績をおさめて終了。祝福する4万5500人のファンが詰めかけ、盛り上がったシーズンを締めくくるに相応しい盛況なイベントとなりました。

 今回のTGRFでは、ピットビル3階にヒストリックな競技車両を集めて展示する企画を実施。グループC耐久レースマシンのTS010から始まりTS050 HYBRIDへと繋がる、ル・マン24時間/WECの挑戦ヒストリーや、セリカのツインカムターボから最新のヤリスWRCへと至るWRC栄光のストーリーも大いに気になるところ。そんななか、個人的に最も心に刺さってきたのは2台の「トヨタ2000GTロードスター」だったのです。

 トヨタの2000GTオーナーズクラブジャパンが集っていたエリアには、2台のロードスター以外にもレースデビューとなった1966年の第3回日本グランプリ仕様が展示されたり、68年にキャロル・シェルビーのマネージメントでデビューした米国のSCCAレース仕様が置かれたり、と気になる2000GTの個体は少なくなかったのです。

 しかし、この2台は3ドアハッチバックのクーペではなくオープントップのロードスター。標準モデルとは受けるイメージがこれほど違うことに、改めて驚かされました。

 トヨタ2000GTのロードスターと言えば、1967年に公開された映画『007は二度死ぬ』で知られた1台。実は映画を撮影するにあたって、このロードスターはトヨタで2台(本番車と予備車)、クーペからロードスターにコンバートされていたのです。

 本番車となった1台はトヨタ博物館に収蔵。もう1台はしばらく所在不明でしたが、約40年間にもわたって放置され、朽ち果てた状態で発見された個体をレストアしたもの。今回の1台は、まさにその実車で、007の映画に登場したのと同一モデル、ということになるでしょう。

 もう1台のロードスターですが、これはオーナーさんが「もう30年以上も前、昭和の時代にクーペを改造して創ったんです」とのこと。ベースのクーペ自体、簡単には手に入れることができないクルマ。ある意味で惜しげもなく、ロードスターにコンバートしたオーナーの心意気は脱帽モノといえるでしょう。

 さらにトヨタ2000GTオーナーズクラブの展示場で聞いた話として「クルマ好きとして知られる某俳優さんがクーペからのコンバート仕様を発注しているそうで、フレームまで手を入れた電動のソフトトップ仕様になるようです」とのこと。

 未確認の情報ですがプライベートでコンバートしたという例も数件あるようで、世の中には数台が存在するだろう2000GTロードスター。この日は2台が富士に顔を揃えていたことになります。

 そんな2000GTロードスターを眺めながらオーナーさんと仕事を忘れてスポーツカー談議に花が咲き…、じつに素晴らしいイベントでした。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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