昔は高速道路の整備も進んでおらず、乗用車のポテンシャルも低かったことから、バイアスで十分だったということで普及していた。逆に貴重なラジアルはスポーツカーの証でもあった。古い自動車カタログを見ると、大々的にラジアル装着とか、スペックのタイヤの欄にはサイズ以外に”ラジアル”と記載。それだけ、昔はありがたかったのだ。
クルマ好きからしてみれば、ちょっとした憧れもあったのも事実。「いつかはラジアルタイヤを履きたいな」と思っていた。つまり、一種のチューニングパーツ的な扱いで、なかにはラジアルみたいなバイアスタイヤという製品もあったほど。1970年代後半あたりからバイアスが減り、ラジアルが主流になってくるのは、クルマの高性能化が理由で、バイアスでは役不足になってしまったからだ。
いまでは乗用車では絶滅してしまったと言っていいが、バイクの世界ではラジアルよりもバイアスのほうが主流。もちろん、マイルドな乗り心地を求めるクルマの旧車オーナーにもいまだ支持を得ている。他にも荷重が大きくないし、軽快感重視などが理由で生き残っているが、最近ではハイグリップのバイアスタイヤというのも出てきていて、なんだか複雑なことになっている。