1970年式ヘリテージカーはサーキット走行もこなす
トヨタ伝説のスポーツカー「2000GT」。流麗なフォルムや存在感などで世界中のクルマ好きに愛されているまさにヘリテージカーだが、約50年前に生産された1970年式の個体を、外装はもちろん、エンジンルームやボディの下回りまで完璧にレストアした1台に遭遇した。感動さえ覚える、その美しき姿をお届けしよう。
12月15日に開催された、トヨタのモータースポーツ・ファン感謝祭「TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2019(静岡県・富士スピードウェイ)」内で行なわれた「トヨタ・2000GTオーナーズクラブ・ミーティング」。ここに参加していたのが紹介する1台だ。
日光などによる褪せた部分が皆無の純白なボディはもちろん、メッキ処理されたバンパーやドアノブ、フェンダーミラーにマフラーなど、外装に一切の古さやヤレは感じさせない。
また、内装も然り。ウッド製のインパネやステアリング、シートなどヤレた感じは微塵も感じられない。
さらに、驚いたのはエンジンルーム。ヘッドカバーはもちろん、エキゾーストマニホールドや各部のボルト類など、ルーム内全体がとても50年前のクルマには思えないほど美しい。まさに新車といっても過言ではないレベルだ。
2000GTのエンジンは、ヤマハが開発に携わった1988cc直6DOHCを搭載。非常に高性能な「3M型」エンジンのみならず、ボディの下回り、サスペンションのアーム類やブラケット類などもため息が出るほどに美しい状態となっていた。
冠水路を走ったことがレストアの契機に
オーナーは、某会社を経営するご年配の紳士。ご本人の希望により、お名前など詳細は明かせないが、2000GTの他にロータス・エランやホンダS800などのクラシック・スポーツカーを所有するほど、かなりのクルマ好き。
2年前に購入したという2000GTは、エアコンを効かせた屋根付きガレージに保管しているというが、まったく乗らないワケではなく、サーキットの走行会やラリーなどにも出場。超激レアなクルマを所有するオーナーのように飾るだけでなく、「乗ってナンボ」というカーマニアならではの心意気がじつにすばらしい。
話を戻そう。外装は少し前に再塗装などを実施。エンジンや下回りは、つい最近レストアしたばかりだという。オーナーいわく、
「今年の夏頃、サーキット走行会に行く途中に豪雨に遭遇し、冠水した道を走ったときにクルマの下回りまで水に浸かってしまった」そうだ。しかも、一部が損傷したため、下回りの修理を行なうタイミングと同時にエンジンルーム内の塗装などもやり直した。
レストア費用までは不明だが、かなりの額であることは推測できる。だが、トヨタ・2000GTは、1967年から1970年までのわずか3年間しか販売されなかった名車。国内で現存しているのは100台ほどと言われるレアモデルだけに、それを維持し、より美しくするための投資は惜しくなかったのだろう。
「お金に代えられないクルマの価値」……人によってかけれらる金額には違いはあるだろうが、このマインドこそが、本当の「クルマ好き」である証なのかもしれない。