交通トラブルだけでなく駐車中も愛車を監視
万一の事故のほか、さらに毎日のようにニュースなどに取り上げられる「あおり運転」による交通トラブル。もし、遭遇したとき冷静な判断や状況をキチンと記憶をできる人は皆無だろう。ドライブレコーダーを装着する最大のメリットは、そのような状況を正確に記録できること。近年では、事故が起きやすい夜間の走行で、確実な録画をできる性能が求められ、1カメラタイプよりも後方まで録画可能な2カメラタイプの人気が高まっている。そのようなドライブレコーダー事情の真意を確認するため、パイオニア製の「カロッツェリアVREC-DZ700DLC」をテストしてみた。
一般的な家庭では、クルマを運転する頻度は奥さんのほうが多い。筆者もその例に漏れず、仕事をしている平日は電車移動で、妻は母親の通院や買い物、子どもの送り迎えなど走行距離こそ短いが運転の頻度は多い。しかも、決して運転が得意ではないゆえ、万一のことを想定するとドライブレコーダーの必要性は十分にあるだろう。
今回、カロッツェリアVREC-DZ700DLCを選んだ理由はいくつかあるが、前方用と後方用の2カメラタイプによる広い録画範囲、そして夜間でも鮮明な映像を記録できるだけでなく、駐車中のトラブルも録画できる駐車監視機能を備えていたことがポイントだ。
ちなみにカロッツェリアVREC-DZ700シリーズは、フロントカメラは共通だが、2個目のカメラをリヤガラスに装着して車体後方を記録するタイプと、フロントウインドウに装着して車内の様子を録画するタイプの2種類を設定。2個目のカメラ自体は同じで、カンタンにいうと配線の長さがロングかショートかの違い。つまり、車両後方の録画をしたいというならロングコードタイプ、車内やクルマの両サイドの様子を求めるならショートコードタイプを選ぶといい。
テスト車両は、メルセデス・ベンツCクラスワゴン。ミニバンなど車内高のあるクルマに比べると両サイドおよびリヤウインドウの面積は決して広くない。いくらカメラが広い画角を確保していても、窓が小さければ映せる範囲はおのずと狭くなる。そのような理由からリヤ用カメラは後方のウインドウに装着するのが最適と判断し、ロングコードタイプを選んだ。
なお、フロント用カメラは回転すれば前方用から車内向き用に使用可能。あおり運転などの交通トラブルに遭遇したとき、リヤカメラで後方、さらにフロントカメラで車両の両サイドを撮影することもできる。
真っ暗な駐車場でも周囲の様子を鮮明に記録
フロントウインドウの運転席前への装着を推奨しているが、その存在を感じさせることはない。確かにモニターを点灯させていると、夜間はその明るさを感じるが、フロントウインドウとほぼ同じくらいの角度なので直接光りが目に入らず、さほど気にならない。サイズはコンパクトだが、必要な画面情報は確認できる程よいサイズが好印象だった。
もちろん、モニターを消す設定も可能。スマホに専用アプリをインストールしてWi-Fi接続すると、ドライブレコーダーの設定から任意に画像や映像を記録するなどの操作もできる。
これは夜間に限ったことではないが、フロントウインドウの映り込みが非常に少ない。一般的なドライブレコーダーに比べ、VREC-DZ700DLCのフロントカメラはウインドウまでの距離が非常に短く、そのため街灯の光や悪条件での影響を受けにくかった。
次に、VREC-DZ700DLCの特徴のひとつである夜間走行&駐車中の映像をチェック。筆者の自宅周辺は街頭が少なく、女性が夜間に出かけるのを躊躇するような環境だ。つまりヘッドライトが照らしている部分は明るく、それ以外はかなり暗い。ところが映像を確認するとノイズ(ザラザラな映像)もなく鮮明。さらにライトを消しても、服装まで確認できた。
リヤカメラは、ハッチバックのガラスに装着したが、プライバシー保護のフィルムを付けているので夜間の撮影には不利な状況。ところが、懐中電灯が必要な車庫内で車両後方を録画した映像を見ると、クリーム色の壁の線やその横にある金網も確認できる。ヘッドライトやテールランプ(ポジション)は点灯しているものの、わずかな光りでここまで映し出せれば十分というか「ここまで見えるのか」という驚きさえある。このような部分からも高感度・高画質録画「ナイトサイト」の実力を垣間見ることができた。
さらに注目は「駐車監視機能」。クルマのエンジンを停止して(アクセサリーをオフ)駐車状態になると、約40分間を内蔵バッテリー、その後はクルマのバッテリーを使い、衝撃を感知すると起動して録画を開始。異常を感知すると、エンジンを再始動するときにモニターで知らせてくれるというものだ。
じつは、クルマに乗ろうとしたとき、モニターに異常を知らせる表示がされたことがある。すぐにスマホのアプリで確認したのだが、その犯人は自分だった。理由は、エンジンを停止させてから車内でしばらく電話をしていたので、ドアを閉めたときの振動を感知してドライブレコーダーが起動。自分のことを不審者として録画したようだ。
ドライブレコーダー市場の上位モデルのスペックを比較してみると、かなりハイレベルな闘いになっている。しかし、走行中の事故や交通トラブルだけを撮影するのではなく、パイオニア・カロッツェリアVREC-DZ700DLCのように、ガラスの映り込みが少ない搭載位置、夜間の鮮明な映像、駐車中の監視機能など高い精度含め付加価値の高い商品を経験してしまった、間違いなくほかの機種を選ぶことはできないだろう。