装着車両の適用品と使用目的を明確にする
キャンプやウンタースポーツなど、なにかと荷物が増えるアウトドア趣味においてルーフキャリアやルーフボックスはとても便利なアイテム。近年のキャリアは、車体に固定するフット、ルーフボックスを支えるバーといった感じで、システム化されている。ところが、取り付けるクルマのサイズやルーフ形状はさまざま。そこでキャリア選びの基本を紹介しよう。
ルーフ形状で台座(フット)のタイプが異なる
ルーフキャリアを付ける際にはまず「フット」と呼ばれる台座部分を用意。ルーフの形状によってタイプが異なり、さらにルーフに直付けする「ノーマルルーフ用」の場合、ドア開口部の形状でフックのタイプも異なるので注意が必要だ。そのほか、ルーフにフットを取り付けるためのネジ穴が用意されている「フレックスポイント式ルーフ用」にくわえ、「ルーフとレールの隙間がないダイレクトルーフレール用」、さらにワゴンやSUVによくある橋桁形状の「ルーフレール用」があるので、フットを探す前にルーフのタイプを確認しておこう。
今回、お話しを聞いたスウェーデンのキャリア製品メーカーである「スーリー」を扱う阿部商会によると、フットのタイプはメーカー(日本輸入総代理店も含む)のホームページまたは、量販店の店頭に置いてある「車種別適応表」をチェックしてほしいとのこと。
バーの長さはクルマの全幅以内
つぎにバーの選択だが、こちらも「車種別適応表」を参照したい。しかし、記載されていない車種もあるので個別に選ぶポイントを紹介していこう。
バーを選ぶうえで最初のポイントになるのが「長さ」。保安基準ではバーの長さは車幅までとなっている。ちなみに高さ方向は3.8mまで(積載物込み)ならOKとなっているが、出先で立体駐車場を使いたい場合は高さには注意。一部の駐車場では”ハイルーフ対応”もあるが高さ制限が2.1mのところも多く、この高さだと一般的なセダンに薄型のルーフボックスでギリギリという高さだ。
乗用車ユーザーは車幅感覚は日常的に感じていても、高さに意識を向ける機会はあまりないので警戒が薄くなりがち。それだけにキャリア込みの全高は余計な事故を防ぐためにも装着後に実測しておきたい。
バーのタイプでボックス類の搭載位置が異なる
長さを決めたあとはバーの種類を選ぶのだが、ここではメーカーを「スーリー」に絞って紹介しよう。最近は風切り音の低減を狙った「ウイングバー」が主流になっている。
ウイングバーを使うには専用のフットが必要になるが、これには「バーの下面でフットと固定するタイプ」と「フットにバーを差し込むタイプ」が用意されていて(車種によって設定は異なる)、それらの違いはキャリア搭載位置の自由度とバーの高さだ。
ルーフボックス類を目一杯に端に寄せるようなことができなくなるため、荷物を載せるときはやや不利。そんなことからフットとバーの購入時は長さだけでなく、高さや合わせるキャリアのことも考えたい。またスーリーも含め他メーカーでは、スクエアバーという汎用性の高いバーもあるのでチェックして欲しい。
ワイルドでアウトドア感があるバスケット
続いては用具を積むためのキャリア選びだ。スーリーに限らずキャリアメーカーには様々なタイプが用意されているが、近年はアウトドアブームなので「バスケット」や「ルーフボックス」の需要が多く、とくにSUVタイプのクルマではワイルドなイメージのバスケットタイプが人気。写真のモデルはとくに人気がある「Thule Canyou 859XT」というモデルでスチール製だ。
バスケットだが、積みたいものをポイポイと置けるイメージもあるのだけど、写真は展示用のもの。実際は落下防止のために大きめのケースやバッグに荷物をまとめたうえで、落下や飛散しないようにラッシングベルトなどで巻きあげて固定することになる。ただ、そんな積み方もバスケットならではの無骨さで見た目もカッコいい。
しかし、バスケットは雨が降ると積載物が濡れてしまったり、積み荷が凸凹になるので空気抵抗が悪く、風切り音もしやすい。な実用面を重視する場合はルーフボックスを選んだほうが満足度が高いだろう。
ルーフボックスは予算や中に入れるモノで決める
ルーフボックスを購入するときには、なかに入れるものや予算からサイズが選ばれる傾向だが、それとあわせて装着したときの車体とのバランスも重視したい。
人それぞれに好みはあるが、一般的に「バランスがよく車体との一体感が出る」とされるのは、ルーフボックスの先端がルーフより少し前に突き出るようなイメージなので「カッコよく付けたい」と思う場合はこの点も参考にして欲しい(ワンボックス車は除く)。
このルーフボックスには厚みの種類も豊富。アウトドア用品はかさばるものが多いので厚みのあるほうを選ぶのが基本。逆に長めのボックスでは容量に対して積み荷が少ないケースもある。そのときはキャリアの耐荷重を適正に生かしつつ、重心を安定させる意味から重いものをボックスのセンターに置き、その他の荷物も回りに集めるような積み方とする。付属のベルト(スーリーは3つ付属)で荷物が動かないように固定していきたい。
ちなみにスーリーを例の場合、ルーフボックスは数年ごとに新モデルが登場するが、そこに採用されるデザインはその時代のクルマデザインのトレンドにあったものとしている。つまり、最新のクルマに乗っているなら最新モデルを選ぶのがデザイン面でも一体感を得やすいということになる。
クルマのルーフの耐荷重はチェックは重要
さて、ここからはとくに重要な部分について。それがルーフの”耐荷重”という部分だ。スーリーのキャリアやフット、バーはだいたい75kg~100kgまでの重さに対応しているが、それを載せるクルマのルーフはそこまでの重さに対応していないケースがほとんど。たいていが50kgほど、余力あるものでも75kgくらいである。
スーリーをはじめとるするメーカーは、カー用品店に置いてある車種別適応や阿部商会ホームページの適合表に、ルーフの耐荷重の数値が記載されている。記載のない車種に関しては、自動車の取扱説明書もしくはお客様相談室へ問い合わせるといいだろう。