SUV賢者がオススメする3台をピックアップ
空前のSUVブームは、ついにコンパクトカーのジャンルにまでおよび始めている。本格派のスズキ・ジムニーシエラの納車ははるか先で、安定した人気を誇るスズキ・クロスビーに続き、ダイハツ&トヨタ合同軍団のロッキー&ライズが登場。「SUV、クロスオーバーモデルに興味はあるけれど、大型車は扱いに困る」というユーザーでも選び放題となっている。
とはいえ、上記の4モデルは、SUV、クロスオーバーSUVのカテゴリーに属するものの、キャラクターは大きく異なる。アウトドア派がブームに乗って安易に選んでしまうと、後で悔やむこともありうるから注意が必要だ。
すべてが優等生な最新コンパクトSUV
アウトドア派が気になる悪路走破性もなかなかで、最低地上高は185mmとSUVとしてまずまずの高さ。アプローチアングル20度、デパーチャーアングル32度で、4WDはトヨタRAV4にも使われるダイナミックトルクコントロールによって、悪路や雪道も安心だろう。
また、荷室のフロア地上高は約700mmと、SUVとしては低めで、重いアウトドア用の荷物の積載もラクラク。荷室のフロアについても奥行き755mm、幅1000mm、天井高740~865mmと大容量。さらに床下には高さ215mm(4WDは135mm)×奥行き745mm(同705mm)×幅815mm(同775mm)ものアンダーラゲッジまで備わるのだから、アウトドア用の荷物もしっかりと積める。
さらにロッキーの場合は、ダイハツコネクトを用。オペレーターサービスによる事故対応サポート、故障対応サポートなどは、ライズのT-コネクトナビと同じだが、クルマの位置をスマホやパソコンで確認できる見守りサービスなどが利用できる。もっと言えば、ロッキーには、車内をWi-Fiスペースにできる機能も備えているので便利である。
ロッキー&ライズが、高速道路の機会が多いユーザーにもうってつけな理由が、上級グレードに、最大15種類の先進運転支援機能が付くスマアシとともに用意されるACC(アダプティブクルーズコントロール)と、ブラインドスポットモニターなどの先進運転支援装備。ACCは高速走行時のドライバーの負担を低減してくれるし、ブラインドスポットモニターは車線変更時などでの接触事故など防止に役立つからだ。
ロッキーは、ここで紹介する4台中、もっとも先進的なコンパクトSUVと言っていいだろう。
小さくてもアクティブに使える
さらに、4WDを選べばヒルディセントコントロール、グリップコントロール、スノーモードまで付いてくるから、悪路や雪道での安心感は非常に高い。運転席と助手席用のシートヒーターまで標準装備しているのは、ハスラーと同様に、クロスビーは雪国のユーザーの声に応えて登場したオールラウンダーだからだ。
アウトドア用品の積載性も文句なく、荷室のフロア地上高は795mmとSUVの標準値ながら、フロア奥行き最大525mm(後席スライド機構が便利)、最大幅1270mm、天井高790mm。荷室側面にユーティリティナット、床下に深さ180mmの樹脂製収納まであるのだから使い勝手、収納力はこのクラスのクロスオーバーSUVとして文句なし。”HYBRID MZ”グレードは、後席背面とフロアが防汚タイプになっているのも、アウトドア使いのポイントとなるだろう。
全車マイルドハイブリッドでJC08モード燃費は2WDで22km/L、4WDでも20.6km/L。ACCが装備されていないものの、お財布的には遠出も苦にならないはずだ。
本格派オフローダーは5速MTも選択可能
何よりもラダーフレーム構造、最低地上高210mm、アプローチアングル36度、ランプブレークオーバーアングル28度、デパーチャーアングル50度のどれを見ても、ライバルなき孤高の本格コンパクト・クロスカントリーと呼ぶにふさわしいスペック。運転席、助手席のシートヒーターが標準装備されるのも、雪道を含むタフな用途に照準を絞っているSUVだからにほかならない。
ただし、1〜2人向けとしたのは、スクエアな開口部を持つ、開口部地上高765mmの荷室は、後席使用時だと奥行きが240mmしかなく(最大幅1300mmと天井高850mmは十二分だが)、アウトドア用品をあれこれ詰め込むには狭い。現実的に、後席をフラットに格納し、フロア奥行きを765mm~まで拡大して使うのが正解だからである。
そうそう、ジムニーシエラには、ロッキー&ライズとクロスビーにはない”5速MT”が用意されているのも、マニアックなSUVを望むユーザーにはうれしいポイント。ATは4速と旧態全としていて、燃費性能もWLTCモードで13.6km/Lと、最新のクルマとしてはやや物足りない部分もあるものの、そこがまたワイルドでいいと感じるユーザーこそ、満足が得られるだろう。
アウトドア派のコンパクトSUV選びの結論として、ジムニーシエラは、アウトドアからさらに一歩踏み込んだ道なき道を行くような、根っからのクロスカントリー派に向く、世界に誇れる超本格派のコンパクトSUV。もっと気楽に、雪道にも強いクロスオーバーモデルを楽しみたいならクロスビー。そして、オールマイティーなのが、後席も実用的で荷室容量で圧倒する、先進運転支援システムも満載の最新のロッキー&ライズ(ライズのXグレードを除く)の4WDモデル(ロッキーはプレミアムとG、ライズはZ)になると思える。
アウトドアの楽しみを知りつつ、極悪路には足を踏み込まないボクとしては、走行中はもちろん、アウトドアシーンでも車内Wi-Fiが利用でき、オン/オフともに安定感抜群で、1リッター3気筒ターボモデルにして素晴らしく軽快かつトルキーな走りをするロッキーに、大きな魅力を感じる。