「M」を持つクルマも存在する
「D」のほかに「M」を備えるクルマも多いが、これを備えるクルマには共通の特徴がある。パドルシフトを使ったり、シフトレバーを前後(左右)に倒してシフトアップ/ダウンする機構を備えているクルマだ。
「M」とは”マニュアル”の頭文字。MT車のように、シフトアップ/ダウンをドライバーの意思で行うためのモードだと考えればいいだろう。想定シーンはエンジンブレーキの効きを調整する際や、追い越し加速の際、そしてサーキットなどのスポーツ走行用だ。
もちろん「M」に入れなくてもパドルシフトなどは機能する場合がほとんどだが、「M」にするとエンジンを高回転まで活用できたり、スポーツカーなどでは「M」にするとギヤが完全に固定されドライバーの操作以外の自動的なシフトアップやシフトダウンが行われないこともある。
使うのはエンジンブレーキのため?
いずれも共通しているのは、「D」よりもエンジンブレーキが効くこと。だから通常走行においては、「D」以外のモードはエンジンブレーキを効かせるためと考えておけばいいだろう。
また、「S」と「B」のどちらも備えるクルマは、エンジンブレーキの効きの強さを切り替えできると考えるとわかりやすい。
なかには「N」ですら備えないクルマも
ところで、世界には「N」や「D」ですら備えないクルマもある。たとえばランボルギーニ。シフトモードはボタンで切り替えるのだが、用意されているのは「R(リバース)」と「M(マニュアル)」のみ。
プラス側のパドルを引くことで「D」に入り、「M」のボタンを押せば“自動変速モード”と自動変速しない“マニュアルモード”が切り替わる。
エンジン始動時は自動的に「N」となり、手動で「N」にしたいときは左右のパドルを同時に引くことで「D」から「N」へ切り替わる仕組みだ。
近年のフェラーリも同様の方式を採用しているが、それらのクルマを動かす際はあらかじめ知識がないと「D」に入れることができず、クルマを発進させることすらかなわないので注意が必要だ。