レクサスはユーザーからの信頼度が高い
「レクサスの国内販売がパッとしない」。そういうイメージを持っているクルマ好きは少なくないだろう。街中でも輸入車のほうが目に留まるし、そもそも「レクサスの中身はトヨタなのだからクルマ好きは買わない」という古いイメージもあるかもしれない。
メルセデスの新車販売は年間6万台超
実際、メルセデス・ベンツとレクサスの新車販売台数を比較すると、メルセデス・ベンツのほうが売れている。少々古い数字になるが日本国内における2018年度の新車販売台数は、メルセデス・ベンツが6万7554台なのに対してレクサスは5万5098台に過ぎない。事実、日本国内でもっとも売れている輸入車ブランドはメルセデス・ベンツで、フォルクスワーゲンやBMWは5万台規模なのでレクサスのほうが若干ながら販売台数は多い。
メルセデス・ベンツよりは少ないが、フォルクスワーゲンよりは多いという事実。レクサスが予算感などでいえば輸入車の購入層をターゲットにしていることからいえるのは、「レクサスはパッとしない」という意見はあくまでもイメージであり、実際にはクルマ好きが思っているよりも売れているという事実だ。
トヨタの販売規模からすると非常に小さい規模なのは間違いなく、トヨタの中のレクサスと考えると期待値に届かないという意見もあるだろうが、レクサスがターゲットにしている層を考えると、ジャーマンスリー(メルセデス・ベンツ/フォルクスワーゲン/BMW)と同程度の販売台数であることをみればビジネスとしてはまずますといえるだろう。
ラインアップ数はメルセデスが圧倒
前述のようにメルセデス・ベンツの新車販売規模はレクサスの2割増しといった状況。この違いがそのままブランド力の差を示していると考えるのは早計だ。なぜならば、新車のラインアップ数でメルセデス・ベンツが圧倒しているからだ。
電気自動車の「EQC」を含めて、「Aクラス」にあるハッチバックやセダンのようなボディ形状の違いを別にカウントして車種を数えるとメルセデス・ベンツは25モデルを超える。人気のSUVだけでいってもGLA/GLC/GLE/GLS、そして元祖Gクラスと5モデルを用意しているほど。また、ミニバンのVクラスはレクサスにはない存在で、ラインアップは充実している。さらにAMGも別カウントすれば、さらに差は広がるわけだ。
一方、レクサスはボディ形状を基本に「Fシリーズ」をベース車にまとめて数えると11モデルのみ。コンパクトハイブリッドの”CT”はあるが、”LS”からはじまるセダンは4モデル、”LC”などのクーペが2モデル、SUVは4モデルというのが現状のラインアップ。メルセデスベンツがオープンカーだけで5モデルを用意しているのに対して、現時点ではレクサスのオープンモデルは設定されていない(LCコンバーチブルが2020年夏発売の予定)。
つまりメルセデス・ベンツが売れているというのは、その絶対的なブランド力によって数少ないラインアップを確実に売っているというのではなく、豊富な車種によってユーザーニーズをしっかりと満たすことで販売台数につなげているといえる。
そんな意味でも、少ないラインアップでジャーマンスリーと同じくらいの販売規模のレクサスは互角か、それ以上のブランド力を持っているということが考えられる。その中には、冒頭で記したクルマ好きの思いとは真逆の「トヨタのブランドだから信頼できる」というものもあるだろう。
手ごろな中古車流通が少なく感じるのは?
新車販売台数だけでブランド力を云々することはできない。ブランド力の要素として見逃せないのがリセールバリューである。”リセールバリューの高いブランド”は、中古車になったときの値落ちが小さい傾向。そのためレクサスについては手ごろな価格の中古車が少ない傾向にある。
さらにレクサスにおいては正規ディーラーの展開している認定中古車(CPO)が、流通する中古車全体の1割以上を占めているのも、そうした印象につながっている。中古車の流通台数もレクサスよりメルセデス・ベンツが多く、中古車情報などをチェックしていてもレクサスが少ないために売れていないと感じるのかもしれない。
ブランド力というのは日々変わっていくものだが、レクサスがメルセデス・ベンツに大差をつけられているということはない。むしろJDパワーの初期品質調査の結果を見ると、レクサスはプレミアムブランドで圧倒的なトップであり、ユーザーからの信頼度は高いといえるだろう。
まとめると、日本国内の新車販売台数を見る限り、メルセデス・ベンツとレクサスには確かに違いはある。しかし、メルセデス・ベンツのラインアップしているモデル数が倍以上あることを考えると、この程度の差であるというのはレクサスが健闘している。つまり、ブランド力で大差がついているとするのは妥当ではないだろう。
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https://japan.jdpower.com/ja/press-releases/2019_Japan_Initial_Quality_Study