シャーシ性能よりパワーを追究した1980年代
国産車のハイパワー戦争が勃発した1980年代、若者をターゲットとした前輪駆動の2BOXカーにターボ化の波が押し寄せた。とは言うものの、現在に比べたら制御技術は未成熟。パワー優先、シャーシ性能が追い付かないまま、いきなり過給が効き始めてパワーが出る「ドッカンターボ」が相次いで登場した。アクセルを開くとトルクステア(ハンドルが動く)で真っ直ぐ走るのもままならぬほどじゃじゃ馬。その中でも印象的だったドッカンターボなコンパクトモデル6台をピックアップした。
ホンダ・シティターボII
ホンダは、シビックの大型化に伴い、1〜1.2リッター級の小型車レンジに投入したのが1981年に登場した初代シティ。これにターボモデルが追加されたのは1年後の1982年だった。
さらにその1年後となる1983年には、インタークーラーを装備し、前後に大型の「ダイナミックフェンダー」を持つターボIIが登場。わずか700kg強の車体に110psの強力なエンジンの組み合わせは、まだ過給制御が不十分だったことも手伝って強烈なターボパワーを発生。走りの迫力は十分だった。
三菱ミラージュ・サイボーグ
1978年に登場した初代ミラージュは、1982年にミラージュIIへとマイナーチェンジした時に1.4リッターのキャブターボモデルを追加。
2代目でもターボ車は存在していたが、1987年の3代目として衣替えしたミラージュに1.6リッター4バルブDOHCにターボを装着した「サイボーグ」が登場。インタークーラーを持つ最高出力145psを発揮するエンジンはトルクフルで圧倒的な加速力をもたらした。それでいて、過給制御技術が進化、洗練され回転全域で滑らかな力強さを発揮。当時、自然吸気の4バルブDOHCが常識的だった1.6リッタークラスのホットハッチにターボ革命をもたらすモデルだった。