出展11台中7台が落札!平均落札額4300万円
1月10日、千葉県・幕張メッセで行われた日本の自動車オークションハウス「BHJ(Best Heritage Japan)」が主催する『SUPER GT AUCTION』に11台のレーシングカーを出品。そのうち7台が落札された。落札全車の価格と編集部が注目した車両の詳細をお届けする。
なお、当オークションでは原則として落札者の個人名を公表していないため、以下結果のみの報告であることをお許しいただきたい。
Lot 1
1975 Lancia Stratos Stradale / Gr.4 Conversion
落札価格:7100万円
WRC(世界ラリー選手権)に参戦することを目的として生産が行われたのがランチア・ストラトスだ。レースの規定に合わせられて開発された市販モデルは492台が世に送り込まれた。出品車は1975年6月12日にトリノのランチアS.p.A.名義で登録。1987年4月にイタリア・トリノのストラトス・ スペシャルショップなどから入手したパーツを使用し、グループ4仕様(ラリー仕様)にコンバートしている。
日本には2006年頃に日本に輸入。ランチアの製造証明書も付属しており、シャシーと搭載されているエンジンナンバー(829ARO)とがマッチング ナンバーであることも証明されている。
Lot 2
1995 HKS T-002 / BCNR33 Record Breaker
落札価格:1110万円
日本を代表するチューニングメーカーHKSが“最速のBCNR33(日産R33型スカイラインGT-R)” というコンセプトのもと1995年に製作したHKS T-002 レコードブレーカーが出品された。 T-002の最初のレコードターゲットは、筑波サーキットのコース2000でラップタイムを“1分切る”ということだった。
タイムが出やすい1995年の冬にレーシングドライバーの松田秀士さんがハンドルを握り、当時では驚異的ともいえる“58秒715” というラップタイムをマーク。日本のみならず世界中のGT-Rチューナーを驚かせた。
また、1996年には茨城県にある谷田部テストコースで17秒74の0→300km/h加速タイムを記録している。ちなみに、2019年の東京オートサロンHKSブースに展示されたクルマそのものだ。
Lot 3
1965 Alfa Romeo Giuria Sprint GTA Corsa
落札価格:3800万円
1965年9月28日に製造された、アルファロメオジュリア・スプリントGTAコルサ。新車時のボディカラーは赤で、10月22日にフランスにデリバリーされた製造証明書が残っている。
詳細なレース記録は不明だが、フランスでレース活動を行なっていたといわれている。僅か501台が生産されたジュリア・スプリントGTAの中でも50台しか製造されなかったコルサは、アルフィスタ垂涎のコレクターズ・アイテムだ。
Lot 4
1972 Nissan Skyline 2000 GT-R KPGC10
落札価格:2900万円
東京・大森にあった日産プリンス・スポーツコーナー(メーカー直系のレーシングサービス&チューナー)で1972年に製作されたKPGC10(日産C10型スカイラインGT-R)のレーシングモデル。オーナーは佐賀県伊万里市でGTRサービスワタナベを開業し“GT-Rの神様”と呼ばれた渡辺茂さん。
渡辺さんはホワイトボディから、当時のレーシング・スペックに基づいてクルマを仕立ており、いくつかのレースに参戦している。注目するべき点は、新車時からずっと渡辺さんの手元に保管されてきたワンオーナーカーであること。日本のレース史を語る上で貴重なマシンと言える。
Lot 6
1977 Porsche 935 K3 /80 by Kremer
落札価格:1億5000万円
ポルシェ930型911ターボをベースにクレマー(ドイツのレーシングチーム)が製作した935K3/80。エンジンは3リッター水平対向6気筒ツインターボのル・マン仕様を搭載(935K3は3.1リッター)。大きなレースの参戦歴は確認できないものの、1984年まで競技に参加していたことを示す本も付属している。近年は、ル・マン・クラシックを始めとする国際格式のクラシック・レースに参加していたこともあり、FIA HTPペーパーも取得している。マシンは即参戦可能なコンディションに保たれている。
入札には国内のみならず、海外からの登録入札者(ビッター)の参加も多かった。
BHオークション武井真司代表は「オートサロンの会場で日本で初めてのレーシングカーのオークションができることの意義深さを感じます」とコメントしている。
このように日本でも貴重なクルマやレーシングカーは、まだまだガレージや倉庫で眠っていると思われる。それだけに、オークションがきっかけになって発掘され、陽の目を見るようになれば、クルマ好きにとっては嬉しい限りだ。