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ホンダアクセス、新しいミニバンの使い方を提案! スロープ式車両の可能性を広げる

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TEXT: 石田 徹  PHOTO: 石田徹

スペースを効率化! 合言葉は“カチャット”

 千葉県・幕張メッセで開催された「東京オートサロン2020」に、Modulo(モデューロ)のブランドで知られるホンダアクセスが出展した「KACHATTO-WAGON(カチャットワゴン)」に注目したい。発想の原点は「もし助手席のスペースに車いすを載せられたら、ミニバンの使い方がもっと楽しく広がるんじゃないだろうか?」というもの。実際に多くの来場者が押し寄せて、興味津々の様子だった。

 ベース車両は、車いすを載せられるようにスロープを備え付けた福祉車両のステップワゴン。開発コンセプトは「MULTI PURPOSE SLOPE VEHICLE(多用途スロープ車両)」ということで、よくある福祉車両とは一線を画しているものの、当然ながら車いすの積載にはこだわって開発されている。結果、車いすを載せるのは2列目以降という常識をブレークスルー。元々は助手席のあったスペースに車いすを積載できれば、2列目シート以降の自由度も大幅に向上、ミニバンのスペースユーティリティをもっと活用できるという結論に達した。

 そのために着手したのが、運転席以外のフロアをフラットに改造すること。3列までシートが備わるミニバンとしての状態ではフラットになっても、2列目以降を取り外した素の状態でそれを実現するのはかなりハードルが高かったとのこと。そして車いす積載時以外の通常シートパターンや、展示車両のようにバイクなども積載できるように、フロア全面にイマオコーポレーション製の「ワンタッチ着脱」と呼ばれるホールを配置。精細な分析はしていない段階だが、相当の強度が確保されていることは取材時に確認できた。

 ここまで広いスペースが確保できれば、車いすの人と一緒にアウトドアスポーツを楽しめるスポットまで出かける、という使い方も現実味を帯びてくる。なお、スロープの角度は福祉車両と同じ14度で、ベース車と同じようにスライドさせて長さを短くし、立てた状態で収納する。福祉車両には車いすを積載するためのウインチが装備されているが、「カチャット」の場合はスペース効率を犠牲にしたくないため、積載する車いすは電動という前提でウインチは備えていないとのことだ。

 開発陣が「カチャットシステム」と名付けた全面のホールへの各種器具の着脱だが、1箇所あたり10秒もあれば可能なことを確認。現時点では強度確認や着脱式シートのコンプライアンス問題もあってすぐに市販というわけにはいかないようだが、ぜひ実現してほしいアイディアだと思った。

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