日常の運転操作が故障の原因のタネとなる
なに気に行なっているちょっとした操作が、じつはクルマを傷めてしまっていることがある。すぐに壊れてしまうようなことはないものの、愛車は小さなストレスが積み重なっていることは間違いない。そこで意外にやってしまいがちな間違ったクルマの操作5つを紹介しよう。
完全に停止しないまま逆方向にシフトチェンジ
せっかちな人に多いが駐車場へ止める際の切り替えしなどで、前進側に車両が動いているのにバックに入れたり、その逆のような運転をする人がいる。クルマが完全に止まりきる前にギアを変えるような運転は、トランスミッション本体や駆動系に大きな負担をかけるほか、速度によっては危険なので取扱説明書にも禁止操作として記載しているケースが多い。
例えば前進時にリバースに入れたときは、トランスミッション内部でリバースギヤに入れる操作が行なわれ、トランスミッションの入力軸までは逆回転となる。つまり、普通のATだとトルコンの出力側のタービンが逆に回転。この状態でドライバーがアクセルを吹かすとエンジンから動力が伝わって正回転側に戻そうとするので、とても大きな負荷がかかるわけだ。
30年くらい前の電子制御のないATでは、プラネタリーギヤのケースが割れたり、ブレーキバンドの異常摩耗といったハードウェアへの悪影響も見られた。
もちろん、ミッションだけでなくドライブシャフトやエンジンを支えるマウント類にも過大な負荷をかけるので、ガタや劣化を早めてしまう。いまは電子制御だし、カーメーカーもある程度のイレギュラー操作は想定しているので、パーキングスピードで簡単には壊れないと思われるが、やはり避けるべき。
例えばトヨタ車には、エンジンコンピュータにイレギュラー操作をカウントする機能があり、整備用の診断機で読み出すことが可能。クルマにとって良くないのは間違いない。
また、通常走行の速度域でリバースギヤに入れる、トルコンのタービンが高速で逆回転することからエンジンが止まって空走状態となるので、それ自体が危険な状況を招く。さらに、アクセルを吹かせば駆動輪で急ブレーキをかけた状況になるので路面の状況によってはスリップ事故にもなりかねない。
ちなみにマニュアル車だと、タイプによっては低速の前進時あるいはニュートラルからクラッチを切った直後のリバース操作でギヤ鳴りする車種があるが、この時はリバースギヤが回転してガリガリぶつかっている状態。ギヤが摩耗したり欠ける可能性もある。
このような場合、車両を完全停止させるのはもちろん、一度前進側に軽くシフトレバーを当てて(入れ切らなくてよい)ミッション内部の回転を止めてやるとスムーズに入るだろう。