イリジウムがすべて長寿命というわけではない
1月10日(金)から12日(日)まで幕張メッセで開催された「東京オートサロン2020」に、スパークプラグやイグニッションコイルといった「NGK」ブランドで知られる日本特殊陶業が出展。この機会に、普段あまり気にかけていなかった「プラグ選びとメンテナンス」のポイントをうかがってみた。
ガソリンエンジンの場合、すべてのパワーの源となるのがスパークプラグであることは今さら言うまでもない。ここから生まれた火炎核(火種)から燃焼が始まるからだ。しかもスパークプラグの先端、火花ギャップ間でスパークし、混合気が燃焼するまでのわずかな時間にも4段階があるという。それぞれの段階でなるべく燃焼効率の良い状態を作り出すことが要求されるのがスパークプラグだ。
こうした着火性能を進化させるべく、NGKでも何種類かのプラグをアフターマーケットに送り出している。またプラグ選びの場合、どのくらいの寿命を期待するかという側面も大きい。たとえ価格が1.5倍しても、寿命が2倍ならコストパフォーマンスは高価なプラグのほうが優れているということになる。
NGKプラグの主なラインアップは、黄色いパッケージでおなじみの「標準プラグ」、燃費性能と加速性能をアップさせた「イリジウムIXプラグ」、これに長寿命をプラスした「イリジウムMAXプラグ」、そしてフラッグシップモデルというべき「プレミアムRXプラグ」の4タイプ。
オートサロン会場で取材に応じてくださったNGKの山下将司さんによると「自分がオススメするのは”プレミアムRX”ですね。街乗りからサーキットまで、車種や使い方を問わずに安定した着火性能はメリットがあると思います。プラグの着火性能が高いと、イグニッションコイルにかかる負担は小さくなり、故障を抑制できます。イグニッションコイルはプラグに比べ高価なので、結果的にメンテナンスコストを低減できます」とのこと。確かにイグニッションコイルとスパークプラグは密接に関係している。プラグの性能がコイルの寿命にも影響することは納得できるわけだ。
ちなみにプラグ選びには「熱価」という数字も大切だ。じつはプラグ自体が800℃以上になると機能が低下するのを防ぐため、熱を逃してやる必要がある。エンジンのタイプによって熱を逃すための要求性能が異なるので、それに応じた熱価のプラグを選びたい。ノーマルエンジンならNGKなどプラグメーカーの対応表に沿って選べばいいし、チューニングした場合はショップなどに相談してみよう。
寿命についてはNGKの場合、標準とイリジウムIXでは走行距離2万km(軽自動車の場合は1万km)、イリジウムMAXなら10万km(軽は5万km)、プレミアムRXなら12万km(軽は6万km)というのが目安となっている。つまりイリジウムと名が付けば長寿命というのは誤りで、いわゆる「両貴金属タイプ」でなければ寿命は標準品と変わらない。
山下さんによると「半年に一度は(プロに頼んでもいいので)プラグを点検してください。もし目安の距離に達してなくても、当社のホームページにある 『奥飛火』のような症状が見られたら、それは交換のサインです」と言う。
最後にプレミアムRXプラグ(写真右側)がなぜ着火性能が高い理由は「やはりこの部分をご覧ください」と見せてくれたのが、この電極の形状の違い。世界初の新素材“ルテニウム配合中心電極”と“白金突き出し+オーバル形状”外側電極が抜群の着火性を実現しているのだそう。
なお、東京オートサロン2020のNGKブースでは2017年の「インディ500」に優勝した佐藤琢磨選手の車両を展示。1月11日にはSUPER GTドライバーの松田次生とロニー・クインタレッリ両選手のトークショーを、また1月12日にはイメージキャラクターを務める佐藤琢磨選手のトークショーが開催された。さらにクイズラリー、ビンゴなどのゲームイベントを実施。各製品の特徴や世界中のレースで活躍するNGKスパークプラグのサポートチームを紹介していた。